[東京 5日 ロイター] - 任天堂 (T:7974)は5日、2021年3月期の連結営業利益を従来予想の3000億円から前年比27.7%増の4500億円に上方修正した。「巣ごもり」需要をとらえて好調だった上期業績を織り込んだ。ゲーム機「ニンテンドースイッチ」のハードとソフトの通期の販売予想も、ともに上方修正した。
古川俊太郎社長はオンライン会見で「ハードの生産状況が回復し、スイッチのハード・ソフトとも好調な販売が継続した」と上期を総括した。スイッチのハードの販売予想は1900万台から2400万台に、ソフトは1億4000万本から1億7000万本にそれぞれ上方修正した。下期については「期初から大きな見直しをしていない」(古川社長)という。
エース経済研究所の安田秀樹シニアアナリストは、会社側の通期見通しは控えめな数字と受け止めている。これから年末商戦期を控えており「ハードは2000万台後半が視野に入り、ソフトは1億7000万本を大きく上回りそうだ。営業利益は5000億円を上回ってくるだろう」と、安田氏は見ている。
<「あつもり」でユーザー層が拡大>
スイッチは、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で春先に一時停滞した生産が夏場に回復して以降、販売は好調で「10月も勢いは継続している」という。古川社長は、3月に発売した「あつまれ どうぶつの森」のヒットを契機にユーザー層が拡大し「(あつもりが)ハード・ソフトとも販売に貢献している」との見方を述べた。
年末商戦に向けては「今期の販売計画を達成できる在庫の準備はできている」と述べた。ソニーの「プレイステーション5(PS5)」や米マイクロソフトの「XboxシリーズX」といった新型ゲーム機が発売されるが、ユーザー層が異なると見られている。古川社長は「直接的なビジネスへの影響はそれほど大きくない」と見ている。
スイッチ生産の中国以外の地域への分散の取り組みは、昨年夏に開始したベトナムでの生産が軌道に乗ったほか、今年夏からはマレーシアでも生産を開始しているとした。
上期配当は1株810円(前年実績は270円)に決定した。下期の配当予想は1株450円(同820円)とした。通期では1株1260円(同1090円)となる見込み。
同時に発表した20年4―9月期の営業利益は前年同期の約3倍の2914億円だった。ハード、ソフトともに前年同期の販売を上回った。ハードは前年同期比80.9%増の1253万台、ソフトは同71.4%増の1億0025万本だった。
*内容を追加しました。
(平田紀之 編集 橋本浩)