日経平均は5日続伸。
22.20円高の26666.91円(出来高概算5億9128万株)で前場の取引を終えている。
前週末27日の米国株式相場は上昇。
ダウ平均は37.90ドル高の29910.37ドル、ナスダックは111.44ポイント高の12205.85ポイントで取引を終了した。
新型コロナワクチンへの期待に加え、感謝祭当日の小売り各社オンライン売り上げが過去最高規模を記録したことや、政局不透明感の後退も手伝い概ね堅調に推移。
ナスダック総合指数は史上最高値を更新して終了した。
米国株高を受けた今日の東京株式市場は買いが先行した。
日本でもワクチン実用化や米政権のスムーズな移行への期待感が株価支援要因となった。
また、3月決算企業の中間配当支払い時期を迎えており、配当の再投資による株価押上げ効果も指摘された。
一方、日経平均は先週末までの4日間で1100円を超す上げとなっていることもあり、寄り後は利益確定売りに押される展開となった。
個別では、三井不 (T:8801)が買収すると発表した東京ドーム (T:9681)がTOB価格1300円を上回る水準でストップ高買い気配となり、世界最速の錠剤検査装置を開発したと発表した池上通信機 (T:6771)がストップ高まで買われた。
また、台湾シリコンウエハーメーカーが独の同業買収で交渉中との報道が手掛かりとなったSUMCO (T:3436)、オンライン診療で関連法案を21年通常国会へ提出するとの報道を受けたMDV (T:3902)、エムスリー (T:2413)、奈良県立医科大学がお茶による新型コロナ不活化効果を確認したと発表したことを受けたティーライフ (T:3172)、伊藤園 (T:2593)、今晩発表の米ズームの8-10月期決算への期待感も手掛かりとなったブイキューブ (T:3681)が上げた。
また、公募増資と株式売出しを発表したANA (T:9202)は増資は織り込み済みとの見方から小幅高となった。
一方、11月度既存店売上高が4カ月連続前年割れとなったクスリのアオキHD (T:3549)、東京ドームに対するTOBを巡り資金負担の増加が懸念された三井不が下げた。
セクターでは、金属製品、海運業、情報・通信業、その他製品、電気機器などが値上がり率上位。
一方、石油石炭製品、鉱業、ゴム製品、陸運業、銀行業などが値下がり率上位だった。
東証1部の値上がり銘柄は全体の30%、対して値下がり銘柄は66%となっている。
引き続き、バリュー株かグロース株かの議論が続いている。
新型コロナワクチン実用化へ向け前進すれば経済活動の本格的な再開期待からバリュー株優位となり、足元の感染拡大が意識される局面ではグロース株に関心が向く。
この繰り返しだ。
ここでふと思う。
バリュー株、グロース株とは何か。
この夏、「米テスラの時価総額がトヨタ自動車 (T:7203)を抜いた」というニュースが注目された。
市場ではテスラはグロース株の代表企業のように語られ、トヨタはバリュー株として取り上げられることが多く、市場ではこのニュースはグロース株優位の典型的な事例としても取り上げられた。
2社の時価総額逆転は、2つの自動車メーカーの時価総額順位が入れ替わっただけなのだが。
テスラはご存じのとおり、実業家イーロン・マスク氏が率いる米国の電気自動車(EV)メーカーだ。
イーロン・マスク氏は、つい先日、日本人宇宙飛行士である野口聡一さんたち4人を宇宙船「クルードラゴン」で国際宇宙ステーションに運んだスペースX社のCEOでもあり、さらにその後、テスラがエアコンに進出すると伝えられ、株式市場でも手掛かり材料となった。
常に話題の最前線にいて、先進的なイメージがある人物だ。
片やトヨタ。
世界トップクラスの販売台数を誇り、ハイブリッド車などの先進市場を開拓してきた日本を代表する自動車メーカーだ。
その技術力は間違いなく世界トップクラスだろう。
社長兼CEOは豊田章男氏。
豊田家直系ということもあり、世間では「伝統」とか「家系」というイメージで語られやすい。
イーロン・マスク氏とは世間一般のイメージが対極にあるようにも思える。
このような両氏の「イメージ」によって両社株がバリュー株、グロース株に分類されているわけではないだろが、全く影響していないとも言えないかもしれない。
バリュー株、グロース株の議論は活発だが、その定義はかなり曖昧なものに思える。
この件についてはもう少し考えてみたいが、紙面の都合で次に回す。
さて、後場の東京株式市場で日経平均はもみ合いとなりそうだ。
相場の先高観は強いものの、目先高値警戒感も強くなっており、上値追いには慎重なムードが強い。
また、外為市場で1ドル=103円80銭台と朝方に比べ20銭ほど円高・ドル安に振れていることも株価の重しとなりそうだ。
(小山 眞一)