[東京 29日 ロイター] - 商船三井は29日、2021年3月期の業績予想について、営業損失を従来予想の130億円から20億円に、経常利益を400億円から950億円に上方修正した。一時的とみていた巣ごもり需要の効果が継続し、コンテナ船の需要拡大が続いていることが修正に背景にある。
純利益の見通しは従来の200億円から600億円に上方修正。1株20円としていた期末配当予想は85円に引き上げた。年間配当は1株100円となる見通しで、前年実績の65円から増配となる。
同時に発表した20年4─12月期の連結業績は、10億8200万円の営業赤字(前年同期は243億円の黒字)だった。
会見した同社の丸山卓取締役専務執行委員は、足元について「たとえば第3四半期に上向いたコンテナ船事業が、第4四半期は赤字もあるとみていたものの、予想に反して好調が継続した。継続する巣ごもり需要によって空コンテナが足りない状況。船舶を係留施設につなげないなど、顧客に迷惑をかけるほどひっ迫している」と述べた。
荷動きの活発化は昨年8月以降に顕著となり、たとえば、アジア発北米向けの自動車部品関係は、8月に前年比5%減だったのが、12月は同76%増まで急速に拡大。タンカーは洋上備蓄需要で市況が急騰した際に獲得した有利短期契約が貢献するという。ドライバルクは市況低迷で減益を見込むが、コンテナ船事業の好調がマイナス分をすべてカバーする。
大手3社が共同で設立したコンテナ船事業の統合会社オーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE)の2020年度税引き後利益も、従来予想の9億2800万米ドルから25億2600万米ドルに大幅上方修正。荷動きの活発化により、市況が高水準で推移したことが理由だ。スペース不足、コンテナ不足に加え、港湾混雑による船の遅延など各地で混乱が生じており、今後はこれらの解決が課題となる。
一方、商船三井がチャーターしていたばら積み貨物船「わかしお」がモーリシャス沖で座礁した事故については、昨年10月、現地駐在員事務所を設置し、環境回復・地域社会貢献に今後も取り組んでいく考えを示した。
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