[3日 ロイター] - 米著名投資家、ウィリアム・アックマン氏の特別買収目的会社(SPAC)「パーシング・スクエア・トンチン・ホールディングス」は、ユニバーサル・ミュージック・グループ(UMG)との間で同社の企業価値を約400億ドルとする合併契約に近づいている。事情に詳しい複数の関係筋が明らかにした。
契約が成立すれば、SPACが関係した合併として過去最大級の規模となる。東南アジア最大の配車サービス企業、グラブ・ホールディングスは4月に400億ドル規模の合併で合意した。
パーシング・スクエアの株価はこのニュースを受け、引け後の時間外取引で約6%安の23.5ドルと、新規株式公開(IPO)価格の20ドルに接近。SPACの株価がIPO価格に近づくほど、取引が成立することへの投資家の懐疑的な見方が強まっていることを示す。
関係筋はUMGとパーシングの取引が成立する保証はなく、交渉は決裂する可能性もあるとしている。アックマン氏は先月下旬、投資家に対し、パーシングの合併ターゲットについて数週間以内に発表したいとしていた。
アックマン氏はこの投資家との電話会見で、企業名には言及せず、「取引完了に向けて取り組んでいる」とし、事業と経営陣に好感を持っていると述べていた。
パーシングは2020年7月にIPOで40億ドルを調達。調達額は当時のSPACによるIPOとして最大となった。
関係筋によると、UMGとの合併は、PIPE(上場企業の私募増資)を必要とせず、信託口座の現金で賄うことが可能という。
ただ、投資家がこの取引を拒否し、持ち分の返還を求めた場合、アックマン氏は取引成立に必要な資金の調達で大きな障害に直面する可能性がある。
パーシングの広報担当者は、コメントを避けた。
UMGからは、今のところコメントを得られていない。
ミシガン大学のエリック・ゴードン教授は「ユニバーサル・ミュージックは、将来性について憶測を巡らすことなく評価できるビジネスだ。パーシングの条件も多くのSPACと比べて良い」と述べた。