[日経平均株価・TOPIX(表)]
日経平均;27395.85;-64.55TOPIX;1939.86;-6.77
[後場の投資戦略]
本日の日経平均は小安くスタートしたのち、マイナス圏で推移して前場を折り返した。
日足チャートを見ると、27300円弱に5日移動平均線、27400円強に25日移動平均線が位置しており、この水準でややこう着感の強い展開。
ここまでの上下の値幅は125円弱だ。
個別では、米長期金利の高止まりでグロース株が主力から中小型まで全般軟調。
一方、1月の海上コンテナ輸送が好調だった海運や、一部証券会社の目標株価引き上げが観測された商社は堅調だ。
また、私鉄各社も上昇率上位に複数顔を出している。
前引けの日経平均が-0.24%なのに対し、東証株価指数(TOPIX)は-0.35%。
ここまでの東証1部売買代金は1兆3000億円あまりで、決算発表の一巡や外部環境の不透明感から減少している。
新興市場ではマザーズ指数が-1.81%と反落。
こちらも前場中ごろを過ぎて712.71pt
(-21.97pt)まで下落する場面があり、取引時間中の昨年来安値を更新した。
ひとまず底割れするような動きとはなっておらず、本日新規上場したエッジテクノロジ (T:4268)が前引け時点でなお買い気配であることなど、引き続き個人投資家の物色意欲の根強さが感じられる部分はある。
しかし、主力のメルカリ (T:4385)が-4.48%となっており、下落トレンドを脱せず。
一昨日の当欄で触れたFRONTEO (T:2158)は連日の大幅下落である。
これら銘柄は再三強調しているとおり、個人投資家が信用買いを膨らませてきた銘柄だ。
昨年11月から人気のマザーズ銘柄の株価急落が相次ぎ、一段の損益悪化に苦しむ個人投資家は少なくないと考えられる。
こうした状況を見るにつけ、筆者は金融引き締めを「織り込んだかどうか」といった議論に違和感を持たざるを得ない。
「織り込んだ」などという見方には、金融引き締めを単なるネガティブイベントとしてしかとらえていないことが透けて見える。
金融緩和は借り入れコストの縮小などを通じて消費や投資を刺激する。
実際、金融市場ではコロナ禍を受けた各国中央銀行の緩和策のもと、世界的に証拠金債務(マージンデット)を膨らませてきた。
東京株式市場でも信用買い残高の合計(東名2市場、制度・一般合計)は2020年1月31日申込み時点の2兆4637億円から、直近ピークだった21年11月26日申込み時点の3兆7401億円まで大きく拡大した。
こうした動きは金融市場だけではない。
数年前に住宅購入を検討した筆者は年収の10倍前後のローン借入れを勧められた。
金利水準が大きく異なるとはいえ、5~7倍程度が妥当という親世代の話を聞いていていただけに驚いたものだが、実際に購入に踏み切った消費者は少なくないだろう。
金融引き締めは借り入れコストの増大などを伴い、こうした消費・投資行動の前提が大きく異なってくるということである。
果たして投資家や消費者の行動は緩和的な金融環境からの脱却を睨んで変化してきているだろうか。
マザーズ銘柄の取引状況などを見ると、「積極的にリスクテイクすれば報われる」という意識がなかなか抜けづらいような気がしてならない。
長い金融緩和の後遺症と言えるだろう。
10日の当欄で取り上げた米ユニバーサ・インベストメンツのマーク・スピッツナーゲル最高投資責任者(CIO)の発言「『現在の流動性がいかに金融システムに組み込まれているか』というリスク」とは、こうしたことを示しているのではないだろうか。
なお、2月10日申込み時点の信用買い残高は3兆2874億円。
やはり金融引き締め観測とともに減少してきたが、コロナショック前と比べれば依然高水準だ。
FOMC議事録がおおむね市場の想定内とはいえ、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締め方向にあることは変わらず。
また、ウクライナ情勢を巡る報道も錯綜していて、先行きを見極めづらい。
日経平均は目先、上値の重い展開が続くとみておきたい。
(小林大純)
日経平均;27395.85;-64.55TOPIX;1939.86;-6.77
[後場の投資戦略]
本日の日経平均は小安くスタートしたのち、マイナス圏で推移して前場を折り返した。
日足チャートを見ると、27300円弱に5日移動平均線、27400円強に25日移動平均線が位置しており、この水準でややこう着感の強い展開。
ここまでの上下の値幅は125円弱だ。
個別では、米長期金利の高止まりでグロース株が主力から中小型まで全般軟調。
一方、1月の海上コンテナ輸送が好調だった海運や、一部証券会社の目標株価引き上げが観測された商社は堅調だ。
また、私鉄各社も上昇率上位に複数顔を出している。
前引けの日経平均が-0.24%なのに対し、東証株価指数(TOPIX)は-0.35%。
ここまでの東証1部売買代金は1兆3000億円あまりで、決算発表の一巡や外部環境の不透明感から減少している。
新興市場ではマザーズ指数が-1.81%と反落。
こちらも前場中ごろを過ぎて712.71pt
(-21.97pt)まで下落する場面があり、取引時間中の昨年来安値を更新した。
ひとまず底割れするような動きとはなっておらず、本日新規上場したエッジテクノロジ (T:4268)が前引け時点でなお買い気配であることなど、引き続き個人投資家の物色意欲の根強さが感じられる部分はある。
しかし、主力のメルカリ (T:4385)が-4.48%となっており、下落トレンドを脱せず。
一昨日の当欄で触れたFRONTEO (T:2158)は連日の大幅下落である。
これら銘柄は再三強調しているとおり、個人投資家が信用買いを膨らませてきた銘柄だ。
昨年11月から人気のマザーズ銘柄の株価急落が相次ぎ、一段の損益悪化に苦しむ個人投資家は少なくないと考えられる。
こうした状況を見るにつけ、筆者は金融引き締めを「織り込んだかどうか」といった議論に違和感を持たざるを得ない。
「織り込んだ」などという見方には、金融引き締めを単なるネガティブイベントとしてしかとらえていないことが透けて見える。
金融緩和は借り入れコストの縮小などを通じて消費や投資を刺激する。
実際、金融市場ではコロナ禍を受けた各国中央銀行の緩和策のもと、世界的に証拠金債務(マージンデット)を膨らませてきた。
東京株式市場でも信用買い残高の合計(東名2市場、制度・一般合計)は2020年1月31日申込み時点の2兆4637億円から、直近ピークだった21年11月26日申込み時点の3兆7401億円まで大きく拡大した。
こうした動きは金融市場だけではない。
数年前に住宅購入を検討した筆者は年収の10倍前後のローン借入れを勧められた。
金利水準が大きく異なるとはいえ、5~7倍程度が妥当という親世代の話を聞いていていただけに驚いたものだが、実際に購入に踏み切った消費者は少なくないだろう。
金融引き締めは借り入れコストの増大などを伴い、こうした消費・投資行動の前提が大きく異なってくるということである。
果たして投資家や消費者の行動は緩和的な金融環境からの脱却を睨んで変化してきているだろうか。
マザーズ銘柄の取引状況などを見ると、「積極的にリスクテイクすれば報われる」という意識がなかなか抜けづらいような気がしてならない。
長い金融緩和の後遺症と言えるだろう。
10日の当欄で取り上げた米ユニバーサ・インベストメンツのマーク・スピッツナーゲル最高投資責任者(CIO)の発言「『現在の流動性がいかに金融システムに組み込まれているか』というリスク」とは、こうしたことを示しているのではないだろうか。
なお、2月10日申込み時点の信用買い残高は3兆2874億円。
やはり金融引き締め観測とともに減少してきたが、コロナショック前と比べれば依然高水準だ。
FOMC議事録がおおむね市場の想定内とはいえ、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締め方向にあることは変わらず。
また、ウクライナ情勢を巡る報道も錯綜していて、先行きを見極めづらい。
日経平均は目先、上値の重い展開が続くとみておきたい。
(小林大純)