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井関農 Research Memo(1):2021年12月期は前期比で増収増益を達成

発行済 2022-04-20 15:21
更新済 2022-04-20 15:30
© Reuters.
6310
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■要約

井関農機 (TYO:6310)は、「農家を過酷な労働から開放したい」という理念の下、1926年8月創立の愛媛県松山市に本社を置く農業機械総合専業メーカーである。
主に日本やアジアでは、農家、大規模農業法人などを中心に、欧州や北米では、景観整備業者、ホビー農家、一般消費者などを対象にトラクタ・乗用芝刈機などの整地用機械、コンバインなどの収穫調製用機械、田植機・野菜移植機などの栽培用機械の開発・製造・販売・アフターサービスを行っているほか、輸入作業機の販売、OEMによる製品の販売など多岐にわたって事業を展開している。
日本農業に関しては、耕耘から稲刈り、乾燥調整まで全てのフェーズにおいて製品を提供していることが特徴だ。


同社の強みは、「技術力」「営農提案・サポート力」「連携によるイノベーション」の3つである。
特許の分野別公開数・登録数(2000~2006年までは「農水産」、2007年からは「その他の特殊機械」)は2000年以降、ほぼ一貫して1位にとなっている(2018・2020年は2位)。
また、近年では農機の販売に加えて、サービス面の強化に注力している。
顧客である農家にとって有用な情報を自社ホームページにおいて発信、さらに営農ソリューション・ポータルサイト「Amoni」を2021年に開設し、気象情報や生育予測に関するデータの提供なども行っている。
また、2015年には「そこに行けば先端営農技術が見える『皆様とともに農業の新しいステージへ』」をスローガンに「夢ある農業総合研究所」を設立した。
行政・研究機関・大学・企業など外部のステークホルダーと連携し、スマート農業の研究・実証・普及活動を行っている。


これら同社の3つの強みと、「ベストソリューションの提供」「収益とガバナンス強化による企業価値向上」という新中期経営計画における2つの基本戦略を組み合わせ、創立100年となる2025年には次の100年に向けた礎づくり、営業利益率5%の目標を達成していく構えだ。


2021年12月31日時点の資本金は、233億4,474万円。
グループ全体の従業員数は5,371名、関係会社は、連結子会社21社(国内販売会社9社、製造関連会社7社、その他:国内2社、海外3社)と持分法関連会社1社。
非連結等も加えた国内販売網は系列販売会社11社、海外販売網は8社でグローバルにビジネスを展開している。


1. 2021年12月期の業績概要
2021年12月期の業績は、売上高で前期比6.0%増の158,192百万円、営業利益で同99.0%増の4,147百万円、経常利益で同175.3%増の4,687百万円に急伸し、親会社株主に帰属する当期純利益も3,196百万円と黒字に転換し、増収増益を達成した。


売上高については、国内・海外共に好調であった。
消費税増税前に発生した駆け込み需要の反動減からの回復、作業機・部品・修理収入が前期比3.2%増の43,358百万円と堅調に推移したことなどを受けて国内売上高が増収で着地したほか、北米・欧州では新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)に端を発するライフスタイルの変化により、コンパクトトラクタなどプライベートユーザー向け製品の需要が増加した。
海外売上高は前期比22.2%増の40,795百万円と過去最高を記録した。


上記のように国内外の売上が好調に推移するなか、前期に計上した部品在庫評価損の剥落などによる原価率の改善もあり、営業利益も前期比で2倍弱に急伸した。
経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益に関しても、営業外収支で539百万円を計上したこと、前期に計上した9,301百万円の固定資産に関する減損損失が115百万円に減少したことなどによって大幅な増益、親会社株主に帰属する当期純利益の黒字転換を達成している。


今回の決算で注目すべきは、海外(欧米)でのライフスタイルの変化を捉え、売上増に着実に結びつけた点だ。
欧・米ではプライベートユーザー向けの、北米ではコンパクトトラクタ、欧州ではハンドヘルド製品などを中心にニーズの変化に迅速に対応、需要増の取り込みが海外売上高全体をけん引した。
また、アジアでは一昨年末にタイの販売代理店を連結子会社化したことや中国向け生産用部品の出荷増などもあり、過去最高の海外売上高を達成することができた。
新中期経営計画で「3つの重点地域で海外事業の拡大」を施策の一つとして掲げている同社にとって、明るい兆しであると言えるだろう。


2. 2022年12月期の業績見通し
2022年12月期の連結業績は、売上高で前期比5.3%増の166,500百万円、営業利益で同13.3%増の4,700百万円、経常利益で同1.9%減の4,600百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同3.0%減の3,100百万円と増収及び営業増益、経常利益以下は前年並みを見込んでいる。


国内事業に関しては、農地の大規模化に合わせてトラクタの「T.Japan(TJ)」シリーズ、コンバインの「HJ」シリーズ、田植機の「さなえPRJ8」など大型農機の販売に注力していくこと、サービス・サポート対応の強化によって部品・修理収入をしっかりと確保していくことなどにより、増収を計画している(国内売上高は前期比1.4%増の1,190億円を見込む)。
海外事業については、コロナ禍によって新たに生まれた個人消費者のニーズを継続して捉えていくこと、アジア(アセアン)ではタイの連結子会社IST社の販売を強化することなどにより、前期比16.4%増の475億円と2期連続で過去最高の売上高を達成することを計画している。


同社の新中期経営計画は2021年12月期から開始されており、「ベストソリューションの提供」「収益とガバナンス強化による企業価値向上」の2つの基本戦略の下、「選択と集中」「ビジネスモデル転換」「収益性改善」「ESG」という4つの観点から事業活動の変革が今まさに実行されている。
これら4つの切り口をしっかりと意識し、改革を着実に実行することができれば、2022年12月期の業績予想達成、さらには今後のさらなる成長も期待することができると弊社では考えている。


新中期経営計画において設定された4つの切り口に関して弊社は、同社を取り巻く外部環境の変化を捉えた適切な観点であると認識している。
一例として「選択と集中」を挙げたい。
農業経営は家族経営や兼業農家などの小規模農家から法人などの組織による大規模経営への移行が進んでおり、今後もその流れは継続していくことが見込まれる。
そうしたなか、リソースを集中させて大型製品、スマート農機、野菜作機械、低価格商品を中心に投入するとしている。
大型製品では、同社の大型主力機であるJapanシリーズの販売に注力することによって最大限の効果を獲得することが可能になるだろう。


■Key Points
・2025年に創立100年を迎える農業機械総合専業メーカー
・2021年12月期は前期比で増収増益を達成
・新中期経営計画の着実な実行と今後の成長に期待

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)

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