[東京 22日 ロイター] - 今週の東京株式市場は堅調な地合いが続く見通しだ。海外投資家がクリスマス休暇に入るため活発な売買は見込みにくいが、円安進行を受けた企業業績の上振れ期待や、底入れの兆しを見せる国内のファンダメンタルズへの期待感が相場を下支える見込み。1万8000円を突破した12月8日以降の下げを戻す展開が予想されている。
日経平均の予想レンジは1万7400円─1万8000円。
原油相場やロシア通貨ルーブルの下落が伝わり、リスク回避ムード一色となった東京株式市場は18日以降、連日の大幅高となっている。テクニカル上では8日と16日終値の半値戻しとなる1万7345円を19日に回復。「半値戻しは全値戻し」との相場格言も意識される。
大和証券の木野内栄治チーフテクニカルアナリストは「これまで株安の背景にあったのはリスク回避の動きではなく、ボルカ―ルールが7月に始まることに伴う金融機関の資産圧縮の動きだ」と指摘する。また「歴史的にみても原油相場は12月にボトムとなる傾向がある」としたうえで、「日本株については下げ過ぎの反動から、年内は堅調な展開が見込まれる」との見方を示している。
もっとも今週は、国内は23日が天皇誕生日のため休場。米国はクリスマスのため24日の株式市場は短縮取引、25日は休場となる。休暇入りする海外投資家が多くなるとみられており、日本株は比較的落ち着いた値動きになることが予想されている。
その海外投資家は、12月第2週(8─12日)まで先物・オプションで4週連続の売り越しとなっている。第2週はSQ(特別清算指数)算出もあったため、売り越し額は9982億円(第1週は1270億円)に膨らんだ。
日本アジア証券の清水三津雄・エクイティストラテジストは「(先物・オプションで)海外投資家が売り越したのは、根本的には7─9月期の国内総生産(GDP)が2四半期連続のマイナスとなったことが背景にある」と指摘する。こうしたなか、日銀は18─19日に開いた金融政策決定会合で、生産と輸出、住宅投資の判断を上方修正した。清水氏は「国内のファンダメンタルズがいいとなれば、上値を試す展開が期待できる」とし、26日発表の11月鉱工業生産などで、国内景気の底入れの兆しが確認できるかがポイントとなるとの認識を示している。
鉱工業生産とともに、同日に発表される11月の全国消費者物価指数(生鮮食品除く、コアCPI)も注視が必要。 ロイターがまとめた民間調査機関の予測中央値は前年比プラス2.7%。消費税率引き上げによる押し上げ分2%(日銀試算)を差し引くと、プラス0.7%となり、心理的節目である1%を2カ月連続で割り込む見通しだ。
エース経済研究所の子幡健二社長は、米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明をタカ派と受け止めた債券市場では米債利回りが上昇し、ドル高基調が続く可能性があると指摘したうえで、「クリスマスを控え、日米株ともにもみあいになりやすいとみているが、CPIが市場予想よりも悪い結果になれば円安が進み、日経平均が1万8000円を上抜ける場面もありそうだ」との見通しを示している。
今週は上記のほかに、国内では22日に12月金融経済月報(日銀)、25日に日銀11月会合議事要旨などが公表される。企業決算はニトリホールディングス 9843.T が22日に、高島屋 8233.T が26日に3─11月期決算を発表する。海外では23日にギリシャ大統領選(議会投票)第2回が予定されている。
(株式マーケットチーム) ((※ yoshiyuki.osada@thomsonreuters.com; 06-6228-0696; Reuters Messaging: yoshiyuki.osada.reuters.com@reuters.net))