■中長期の成長戦略
1. 中期経営計画
三井松島ホールディングス (TYO:1518)は1913年の創業以来、100年以上にわたり祖業である石炭関連事業を継続してきたが、近年は世界規模での環境保護意識の高まりを背景に、脱炭素社会の実現に向けた取り組みが国家・企業・投資家の枠組みを越えて加速しており、石炭関連事業を取り巻く環境はかつてなく厳しいものに変容しつつある。
このような危機意識の下、脱炭素社会到来への備えとして、事業ポートフォリオの組替えや石炭生産事業に依存しない収益基盤の確立が必要と考え、そのためのロードマップや具体的対策をまとめた中期経営計画を2018年11月に策定した。
数値目標としては、最終年度の2024年3月期に営業利益55億円、ROE8%以上、配当性向30%以上を掲げている。
2020年3月期から2024年3月期までの5年間で300億円のM&A投資を実行することにより、非石炭生産事業で47億円の営業利益を目指している。
(1) 各事業の方針
石炭生産事業については、当面は現状を維持する。
底堅い見通しの石炭需要に対応しながらも、既存権益以外の新規権益投資は行わない方針を掲げている※1。
一方、非石炭事業については、投資リターンを意識したM&Aを実行していく方針だ。
投資収益率※2 15%を目標にするほか、「安定収益・ニッチ市場・わかりやすい」といった方針に基づき新規M&A投資を着実に実行することで定量目標の達成を目指す。
※1 豪州リデル炭鉱については、州政府から許認可を得ている採掘エリアが2024年3月期中に終掘予定。
隣接地域への鉱区延長を行うかどうかは経済合理性等から判断し、最適な意思決定を行う方針。
※2 投資収益率=年間EBITDA÷累計投資額(企業価値ベース(株式+純有利子負債)。
(2) 進捗状況
2022年5月時点の累計投資額が147億円(中期経営計画目標300億円のうち49%)となるなか、2023年3月期の非石炭生産事業の営業利益は35億円と計画の75%を達成する見込みである。
総じて順調に利益を積み重ねていること、効率的に投資を行っていることから、最終年度である2024年3月期に目標を達成する可能性は高いと弊社では見ている。
2. 2025年3月期以降の方針
2025年3月期以降についても、新規M&A投資を着実に実行し、非石炭生産事業で営業利益増を目指す方針に変わりはない。
一方、グループ会社間のシナジー創出の視点も加え、目標投資規模の拡大も行いながらM&Aに取り組むことで、グループ全体の成長をさらに加速させていく方針だ(現時点でも推進中)。
なお、石炭生産事業に関しては、リデル鉱区延長に関して様々な要素を元に慎重な判断を要するが、不確定要素が多い現段階では、2025年3月期以降の石炭生産事業収益を見込まない前提で経営戦略を講じている。
現時点でも同社は「安定収益・ニッチ市場・わかりやすい」といった方針に基づき新規M&A投資を着実に実行し、成果をあげている。
これにグループシナジーを投資基準に加えることで、成長性及び収益性がさらに加速される可能性は以上に高いと弊社では見ている。
今後の新規M&A投資に期待が高まる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
1. 中期経営計画
三井松島ホールディングス (TYO:1518)は1913年の創業以来、100年以上にわたり祖業である石炭関連事業を継続してきたが、近年は世界規模での環境保護意識の高まりを背景に、脱炭素社会の実現に向けた取り組みが国家・企業・投資家の枠組みを越えて加速しており、石炭関連事業を取り巻く環境はかつてなく厳しいものに変容しつつある。
このような危機意識の下、脱炭素社会到来への備えとして、事業ポートフォリオの組替えや石炭生産事業に依存しない収益基盤の確立が必要と考え、そのためのロードマップや具体的対策をまとめた中期経営計画を2018年11月に策定した。
数値目標としては、最終年度の2024年3月期に営業利益55億円、ROE8%以上、配当性向30%以上を掲げている。
2020年3月期から2024年3月期までの5年間で300億円のM&A投資を実行することにより、非石炭生産事業で47億円の営業利益を目指している。
(1) 各事業の方針
石炭生産事業については、当面は現状を維持する。
底堅い見通しの石炭需要に対応しながらも、既存権益以外の新規権益投資は行わない方針を掲げている※1。
一方、非石炭事業については、投資リターンを意識したM&Aを実行していく方針だ。
投資収益率※2 15%を目標にするほか、「安定収益・ニッチ市場・わかりやすい」といった方針に基づき新規M&A投資を着実に実行することで定量目標の達成を目指す。
※1 豪州リデル炭鉱については、州政府から許認可を得ている採掘エリアが2024年3月期中に終掘予定。
隣接地域への鉱区延長を行うかどうかは経済合理性等から判断し、最適な意思決定を行う方針。
※2 投資収益率=年間EBITDA÷累計投資額(企業価値ベース(株式+純有利子負債)。
(2) 進捗状況
2022年5月時点の累計投資額が147億円(中期経営計画目標300億円のうち49%)となるなか、2023年3月期の非石炭生産事業の営業利益は35億円と計画の75%を達成する見込みである。
総じて順調に利益を積み重ねていること、効率的に投資を行っていることから、最終年度である2024年3月期に目標を達成する可能性は高いと弊社では見ている。
2. 2025年3月期以降の方針
2025年3月期以降についても、新規M&A投資を着実に実行し、非石炭生産事業で営業利益増を目指す方針に変わりはない。
一方、グループ会社間のシナジー創出の視点も加え、目標投資規模の拡大も行いながらM&Aに取り組むことで、グループ全体の成長をさらに加速させていく方針だ(現時点でも推進中)。
なお、石炭生産事業に関しては、リデル鉱区延長に関して様々な要素を元に慎重な判断を要するが、不確定要素が多い現段階では、2025年3月期以降の石炭生産事業収益を見込まない前提で経営戦略を講じている。
現時点でも同社は「安定収益・ニッチ市場・わかりやすい」といった方針に基づき新規M&A投資を着実に実行し、成果をあげている。
これにグループシナジーを投資基準に加えることで、成長性及び収益性がさらに加速される可能性は以上に高いと弊社では見ている。
今後の新規M&A投資に期待が高まる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)