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品川リフラ Research Memo(8):気候変動リスクに備え、収益機会を獲得する

発行済 2022-12-13 15:08
更新済 2022-12-13 15:15
© Reuters.
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■品川リフラクトリーズ (TYO:5351)の中長期の成長戦略

2. 気候変動リスク及び収益機会
2022年は、異常気象が世界に深刻な被害をもたらした。
6月にパキスタンで史上最悪の大洪水により国土の3分の1が水没し、3,300万人が被災した。
中国は、夏の猛暑と干ばつにより長江流域で記録的水不足となり農産物が甚大な被害を受けた。
また、水力発電の稼働率が下がり、工場の操業が停止した。
欧州は、河川の水位が下がり、貨物船の運航に支障が出た。
米国では、カリフォルニア州に熱波が襲来し、電力不足と大規模な山火事が発生した。


2022年11月にエジプトで開催された国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)において、昨年のCOP26で採択された産業革命前からの気温上昇を「+1.5℃」に抑える努力を追求するとした合意を再確認された。
2015年のパリ協定では、気温上昇を2℃より低くし、できれば1.5℃に抑える目標を掲げてきたが、昨年のグラスゴー気候合意では「+1.5℃」に抑えることを目標とした。
新目標は、2030年に温室効果ガス排出量を2010年比45%削減する必要がある。
目標に合致しない国に対し、COP27では「2023年末までに目標を再検討して強化するよう要請する」と明記された。
気候変動リスクへの対応は不可避であるが、脱炭素及び水素社会への移行に収益機会を見出すことが肝要になる。


同社は、2022年6月に「気候変動リスク及び収益機会について」を開示した。
2050年度のカーボンニュートラル実現に挑戦するとしている。
気候変動への対応を重大な経営課題と受け止め、リスクに的確に対応するとともに、収益機会を積極的に活用していく。
今後の温暖化防止策の実施結果により、想定する社会と主な気候変動影響として政策・規制、市場、技術、天候・環境の変化について「+2℃未満」と「+4℃」でシナリオを描いている。


同社は、2030年度のScope1・2を対象とするCO2排出量を2013年度の年52,900トンから26,000トンへと半減することを目指す。
省電力のLED照明への交換はもとより、グループの工場や倉庫などの施設に太陽光発電システムを設置する。
焼成炉の燃料は、重油からLNGへ切り替える。
不定形耐火物の販売を促進する。
不定形耐火物は、定形耐火物の製造工程にあるプレス・焼成・乾燥におけるエネルギー消費が不要なため省エネとなる。
カーボンニュートラルを目指す企業は、取引先のCO2排出量も勘案する方向にある。
高炉、電炉、セメントの既存顧客向けは、さらなるシェアアップとCO2排出量の削減に資する製品の製造設備用耐火物の拡販を図る。
機械メーカー向けなどは、耐火物の不定形化に重点を置いた誘導炉、電気炉、取鍋、機能材などを伸ばす。


さらに、2025年3月期上期からのフル生産を目指して、37億円をかけて西日本地区の不定形耐火物の生産体制の最適化を進めている。
新プラントの建屋建設、大容量設備の導入、操業の無人化や高速化により、生産性は現在の1.6倍と飛躍的に向上する。
国内における拡販と競争力強化だけでなく、CO2排出量削減にも寄与する。
また、省エネ等の材料・設計の提案、同社グループ企業間の連携強化による耐火物と断熱材の一体販売も進める。


JFEホールディングスは、昨年5月に「気候変動問題への取り組み」を開示した。
第7次中期経営計画の最重要課題に気候変動問題の取り組みを位置付けている。
「JFEグループ環境経営ビジョン2050」において、2050年のカーボンニュートラル実現を目指すことを表明した。
鉄鋼事業では、CO2排出量を2013年度比で2024年末までに18%減、2030年度では30%以上の削減を目標とする。
2024年から2030年までをトランジション期とし、その後の2050年までをイノベーション期としている。


2030年度までのトランジション期の鉄鋼プロセスの低炭素化手段として、省エネ・高効率化、低炭素原燃料活用、低炭素プロセス導入の3つを挙げている。
省エネ・高効率化では、2025年に福山地区で高効率コークス炉への更新を計画している。
低炭素原燃料活用は、転炉でのスクラップ利用の拡大と還元鉄(HBI)の活用を全地区で進めている。
還元鉄の確保のため、Emirates Steel Arkan (UAE)、伊藤忠商事 (TYO:8001)との間で低炭素還元鉄のサプライチェーン構築に向けた詳細な事業化調査を実施することで合意した。
UAEに設立する合弁会社は、還元剤をコークスから天然ガスへ置き換えた低炭素還元鉄の生産とCCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)の活用で原油増進回収を行い、CO2排出量を削減する。
2025年度下期から年間250万トン程度の規模で直接還元鉄の生産を目指す。
JFEスチールは、自社の引き取り分を国内製鉄所で使用する。
2030年までのトランジション期において、大型電気炉、フェロコークス、スクラップ・還元鉄対策、LNGなどに1兆円規模の設備投資が必要となると想定している。
低炭素技術で生産される鋼材は高コストになるが、従来品と比べ品質や性能面で優位性があるわけではなく、環境価値を適切に評価したグリーン鋼材の市場創出が必須となる。


2050年のカーボンニュートラル実現には、超革新技術の早期確立と実装が必要になる。
実用化され削減効果をもたらすのは、2030年以降のイノベーション期と想定している。
超革新技術については、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション(GI)基金事業等を活用した複線的な技術開発を推進する。
GI基金事業の開発内容は、カーボンリサイクル高炉法、直接還元製鉄法、高効率・大型電気炉である。
製鉄プロセスにおける水素活用プロジェクトには、高炉3社と一般財団法人金属系材料研究開発センターの4社が、コンソーシアムを結成している。
鉄鋼業界だけでは超革新技術を実用化できない。
コンビナート/企業間連携も含めた、CO2分離回収・利用・貯留技術の活用や大量に安価なカーボンフリー水素や電力の調達が不可欠になる。


こうしたJFEグループの活動に対して、同社は耐火物と断熱材に関する技術を活用し、様々なソリューションを提供できるよう研究開発に努めている。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)

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