[ソウル 9日 ロイター] - 対話型人工知能(AI)「チャットGPT」を開発した米新興企業オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)は9日、韓国を訪問し、約100社の現地新興企業幹部と会談した。尹錫悦大統領とも会談し、韓国がAI国際基準策定へ主導的役割を果たし、それに向けた技術に必要な半導体の製造に注力するよう求めた。
大統領はCEOに対し「技術開発のスピードが速く、チャットGPTに副作用を防ぐための国際基準も迅速に準備する必要がある」と語った。大統領府が明らかにした。
アルトマン氏は先月に欧州諸国を訪問し議員や各国首脳とAIの展望や脅威について協議。今週だけでイスラエル、ヨルダン、カタール、アラブ首長国連邦(UAE)、インド、韓国を訪問している。
アルトマン氏は韓国の新興企業幹部との会談で、イノベーションを阻害しないことや、このテクノロジーの恩恵を確実に世界に届けるような規制枠組みでなければならないということに注目が集まっていると説明した。
チャットGPTが昨年発表されてから生成AIは急速に普及しており、安全上の懸念に対処するための法整備も進んでいる。
欧州連合(EU)は「AI法」の草案を既にまとめており、今年中に法制化する予定。米国は既存の法律をAI分野に適応させる形で法整備を進める。
韓国では、国会が新たなAI規制の最終判断を行う予定だが、EU規制よりも緩やかな内容になる見通し。
国会の委員会は今年2月、AI製品やサービスをリリースする自由を保証し、人々の生命や安全、権利に害を及ぼすと当局が判断した場合のみ規制するAI法の草案を可決した。
韓国はAIの国内競争力強化を図っており、ネイバー、カカオ、LGといった国内テック企業のおかげで、米中が存在感を示すこの分野でAIの基礎モデルを独自に開発した数少ない国の一つとなっている。
英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が5月にネイバー幹部の話として報じたところによると、同社は中東の政治的に敏感な国々や、スペイン、メキシコのような非英語圏の国々向けにローカライズされたAIアプリケーションを開発することに意欲を示している。