■過去の業績推移
愛知銀行 (TOKYO:8527)の2010年3月期から2015年3月期までの6年間の業績を振り返ると、業務粗利益は資金利益の減少とともに緩やかに減少傾向をたどってきた。
この間の預貸金残高が増加していることから、資金利益の減少は貸出金利回りの低下による利ざやの縮小が原因である。
なお、貸出金利回は、2010年3月期の1.74%(期中平均)から2015年3月期の1.31%(同)へ0.43%低下し、預貸金利ざやは同様に0.41%から0.22%へ0.19%縮小した。
ただし、貸出利回りの低下は、この間の長期国債(10年国債の応募者利回り)利回りが1.358%(2009年平均)から0.565%(2014年平均)へ低下するなど、市中金利の低下による影響が大きく、銀行業界全体で共通の課題となっている(出所:長期国債利回りは財務省)。
また、業務純益は、業務粗利益の緩やかな減少に加えて、2012年3月期には貸倒引当金を保守的に積み増したことから大きく減少した。
ただ、経常利益が2013年3月期以降、増益に転じているのは、与信費用の減少によるものである。
特に、2014年3月期からは過去に積み増した貸倒引当金からの戻入益(マイナスの与信費用)の計上が大幅な増益に寄与している。
一方、リスク管理債権残高(延滞債権等)は、過去における円高進行や国内消費の低迷等を背景とした企業業績の落ち込みにより高い水準で推移してきたが、地元経済の回復等を背景として2015年3月期のリスク債権比率は3.70%(前期は4.31%)と大きく改善している。
また、保全率(担保・保証及び引当金でカバーされた比率)も約88.7%と高い水準を維持しており、財務的なリスクは限定されている。
また、財務基盤の健全性を示す自己資本比率(国内基準)は高い水準を維持している。
これは、同行の財務健全性を示すと同時に、今後の成長に向けたリスク許容力として捉えることも可能である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
この間の預貸金残高が増加していることから、資金利益の減少は貸出金利回りの低下による利ざやの縮小が原因である。
なお、貸出金利回は、2010年3月期の1.74%(期中平均)から2015年3月期の1.31%(同)へ0.43%低下し、預貸金利ざやは同様に0.41%から0.22%へ0.19%縮小した。
ただし、貸出利回りの低下は、この間の長期国債(10年国債の応募者利回り)利回りが1.358%(2009年平均)から0.565%(2014年平均)へ低下するなど、市中金利の低下による影響が大きく、銀行業界全体で共通の課題となっている(出所:長期国債利回りは財務省)。
また、業務純益は、業務粗利益の緩やかな減少に加えて、2012年3月期には貸倒引当金を保守的に積み増したことから大きく減少した。
ただ、経常利益が2013年3月期以降、増益に転じているのは、与信費用の減少によるものである。
特に、2014年3月期からは過去に積み増した貸倒引当金からの戻入益(マイナスの与信費用)の計上が大幅な増益に寄与している。
一方、リスク管理債権残高(延滞債権等)は、過去における円高進行や国内消費の低迷等を背景とした企業業績の落ち込みにより高い水準で推移してきたが、地元経済の回復等を背景として2015年3月期のリスク債権比率は3.70%(前期は4.31%)と大きく改善している。
また、保全率(担保・保証及び引当金でカバーされた比率)も約88.7%と高い水準を維持しており、財務的なリスクは限定されている。
また、財務基盤の健全性を示す自己資本比率(国内基準)は高い水準を維持している。
これは、同行の財務健全性を示すと同時に、今後の成長に向けたリスク許容力として捉えることも可能である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)