[ブリュッセル 4日 ロイター] - 欧州連合(EU)欧州委員会は4日、巨大IT企業の個人情報収集を巡る調査を迅速化するため、新たな手続きを発表した。国境を超える案件を各国の規制当局が速やかに処理できる体制を整える。
巨大ITに対する調査を巡っては「時間がかかりすぎる」「罰金が少なすぎる」との批判や、多くの巨大IT企業が本社を置くアイルランドのデータ保護委員会(DPC)の役割が大きすぎるとの批判が出ている。
欧州委員会は「手続き面の調和は、調査の適時完了と個人に対する速やかな救済措置の提供につながる」と表明した。
新たな手続きでは、個人情報を保護する主たる規制当局に対し、問題の要点を他の規制当局と共有し、早い段階でフィードバックを受けられる体制を整えることを義務付ける。国境を越えた協力・紛争処理については共通の期日も設定する。
苦情を申し立てた人には、苦情が全面的・部分的に却下された場合、自らの見解を主張する権利が付与される。規制当局が調査開始を決定した場合は、苦情を申し立てた人に適切な関与が認められる。
調査対象の企業には、重要な段階で自らの見解を主張する権利と資料にアクセスする権利が付与される。
メタ・プラットフォームズやアルファベット傘下のグーグルに対して苦情を申し立てたプライバシー活動家のマックス・シュレムス氏は、新しな手続きを批判。「欧州委の提案は技術的にも実質的にも欠陥があり、市民の権利行使を保障するものではなく、既存の権利を奪うものだ」と述べた。
IT企業のロビー団体であるコンピューター・情報産業協会(CCIA)は、企業が不服を申し立てる権利や現実的な時間枠で公正な審理を受ける権利が不十分だと指摘した。