[台北 20日 ロイター] - 半導体受託生産最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が20日発表した第2・四半期決算は、純利益が前年比23.3%減少した。TSMCは世界的な景気減速を背景に今年の売上高が約10%減少すると予想し、通期の投資支出も従来予想の下限に引き下げた。
魏哲家最高経営責任者(CEO)は、人工知能(AI)関連の需要は高いものの、世界経済の回復が予想以上に遅れており、より広範な最終市場の低迷を相殺できていないと指摘。
「AI需要に関する短期的な熱狂をもって、長期的なことを予想することはできない。近い将来、つまり来年についても、突発的な需要が続くのか、あるいは横ばいになるのか予測できない」と述べた。
TSMCは、AI関連需要の急増で顧客のニーズに追い付かず、製造体制をできるだけ早く増強する計画だとしている。
今年の投資支出は従来予想(320億─360億ドル)の下限に引き下げた。ここ数年、設備投資を強化してきたこともあり、今後数年は伸びの減速を予想した。
第3・四半期の売上高は167億─175億ドル程度と、第2・四半期を上回ると予想した。
ただ、例年アップルが年末商戦を前にiPhoneの新モデルを発売する年後半については、季節的な押し上げ効果は相対的に弱めだと予想。電気料金の高騰などの課題を指摘した。
米アリゾナ州の第1工場では専門家不足に悩まされており、「N4」生産は25年にずれ込む見込みを示した。台湾の熟練技術者を現地に派遣し状況の改善に努めていると説明した。
<第2・四半期は減益>
第2・四半期の純利益は前年比23.3%減の1818億台湾ドル(58億5000万ドル)。前年同期は2370億台湾ドル。アナリストの予想(1725億5000万台湾ドル)は上回ったものの、2019年第2・四半期(7.6%減)以来の減益となった。
売上高は13.7%減の156億8000万ドル。会社予想と一致したが、1桁の前半から半ばの減少としていた通期の予想を10%前後の減少に下方修正した。
黄仁昭最高財務責任者(CFO)は「第2・四半期の事業は世界経済情勢から影響を受けた。最終市場は低迷し、顧客の在庫調整が続いている」と述べた。第3四半期は、顧客の在庫調整で一部相殺されるものの、3ナノ技術の好調な立ち上がりが支えるとの見通しを示した。