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アングル:インフレ下のインド、欧米ファストフードが値下げ競争

発行済 2023-07-23 08:01
更新済 2023-07-23 08:09
© Reuters.  7月20日、ピザチェーン世界最大手の米ドミノ・ピザにとって、インドは米国を除いて最大の市場だ。インド・ノイダで4日撮影(2023年 ロイター/Adnan Abidi)

[チェンナイ/ニューデリー 20日 ロイター] - ピザチェーン世界最大手の米ドミノ・ピザにとって、インドは米国を除いて最大の市場だ。インフレに直面するインドでドミノはどのような販売戦略を打ち出したか。その答えが、同社として世界で最も安い1枚49ルピー(約83円)のピザを投入することだった。

インド国内でドミノ1816店をフランチャイズ運営するジュビラント・フィードワークスのサミア・ケタルパル最高経営責任者(CEO)は、バジルとパセリを振りかけた7インチサイズのチーズピザは間違いなく世界各地のドミノのピザで最も安いと認めた上で、同社としてこの価格帯の市場を手に入れたいと話す。

ケタルパル氏によれば、これこそがインフレに対抗し、物価高についていけなくなっている消費者を取り込む切り札で、ドミノのグローバルチームも計画を後押ししている。「49ルピーという触れ込みだから客は来店し、アプリを開く」と語る。

上海ではドミノのピザは最低でも約3.80ドル(約530円)、サンフランシスコなら12ドル前後だ。

ドミノだけではない。ロイターがファストフード業界幹部や店舗運営責任者に取材したところ、ピザ・ハットやバーガー・キングといった世界的な巨大ファストフードチェーンがインフレ下のインドで「バリュー戦略」を採用せざるを得なくなったことが明らかになった。

各社とも、過去30年余りの急成長で獲得した市場シェアを維持することに必死だ。人口14億人のインドは将来にわたって重視すべき市場と位置付けられているが、ストリートフードの文化が浸透し、露店や屋台で提供される安い食べ物との厳しい競争にもさらされる。

ケタルパル氏の場合も、こうした競争やインフレを踏まえ、毎週月曜に従業員と会議を開いて新たなコスト節減方法がないか検討している。その一例として、昨年12月から店内飲食用に提供する容器からふたをなくし、1つ当たり0.006ドルの経費を減らした。インドのドミノは店内利用率が37%と高く、包装コストの節約につながった。

<萎縮する中低所得層>

インド市場は価格感応度が非常に高い。複数の業界幹部は、低価格商品が店舗やアプリに客を呼び込むとともに、彼らがより多く注文したり、高価格帯の商品を買ってくれる可能性にも期待している、と語った。

ピザ・ハットは昨年販売を開始した最低価格79ルピーのピザを積極的に売り込んでいる。インドのフランチャイズ運営会社サフィア・フーズによると、これもピザ・ハットとして世界最安だ。

マクドナルドは6月にインドで通常の半額の商品を販売し始めた。今後数週間にわたる販促活動の主力になる、とフランチャイズ運営会社ウエストライフ・フードワールドのエグゼクティブディレクター、アクシャイ・ジャティア氏は説明する。集客を強化し、売上高と利益率を押し上げてくれると期待している。

一方、ドミノが49ルピーのピザを投入したのは2月。ケタルパル氏は、以前に59ルピーで売っていたところからさらに値下げし、トッピングからトマトを外して実現したと明かす。

材料のうちチーズや鶏肉などの価格も昨年から今年にかけて30―40%上昇したものの、最近数週間でトマトが400%余りも値上がりしたからだ。

各社がバリュー戦略に傾いているのは、好景気下では外資系飲食チェーンでの食事を生活スタイル向上の証として楽しんでいた多くの低中所得層が、インフレとともに財布のひもを締めていることも影響している。

インドでは格差も一段と拡大。富裕層が住む地域ではドミノの最高で14ドルする新しい豪華なピザの売れ行きが大幅アップしている半面、ケタルパル氏が訪れたチェンナイなどの店舗にいた人たちは、すっかりさびしくなった懐を探ってかき集めたなけなしのお金でようやく49ルピーのピザを買えるという状態だった。

<安かろうまずかろう>

ユーロモニターの推計に基づくとインドのファストフードチェーン市場は50億ドル弱で、米国の3410億ドルや中国の1370億ドルの足元にもまだ及ばない。

欧米チェーンが優位に立つピザ、ハンバーガー、チキンの分野に絞ると市場規模は21億ドル。今後も成長が見込まれるが、そのペースは鈍化が予想される。

市場の伸び率は昨年が21%、2021年は主に新型コロナウイルスの規制解除後の消費ブームのおかげで43%だった。ただユーロモニターの予想では、27年までの伸び率は年間約15%にとどまる。

ピザ・ハットの親会社ヤム・ブランズは6月、インド国内の店舗が2000余りと米国の1万7000店に比べてずっと少なく、成長余地は膨大だとの見方を示した。

しかし、楽観しにくい要素も残っている。

エムカイ・グローバル・ファイナンシャル・サービシズのアナリスト、デバンシュ・バンサル氏は、露店で食事をするインドの人々から見れば、インフレで懐が痛んでいる現在の環境では欧米系のファストフードチェーンが提示する最新の価格でさえなお割高だと指摘する。

少し金額を足せば、ずっと内容の充実した地元チェーンの商品が買えるとの声も聞かれる。

銀行で働く26歳のキラン・ラジさんは「大手チェーンの店では100ルピー以下の商品は買わない。大体トッピングは少ないし、チーズの層も薄いから。ほとんど生地だけだ」と切り捨てた。

(Praveen Paramasivam記者、Aditya Kalra記者)

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