[東京 31日 ロイター] - パナソニックホールディングスは31日、通期純利益見通し(国際会計基準)を4600億円へと1100億円上方修正した。液晶製造子会社の解散に伴い、会計上の法人所得税費用の減少を織り込んだ。IBESがまとめたアナリスト18人のコンセンサス予想純利益は3192億円だった。
傘下で液晶パネルを生産していたパナソニック液晶ディスプレイ(PLD)の解散と債権放棄を決議した。約5800億円の債権については引き当て済み。連結の売上高や営業利益見通しは据え置いた。
<4―6月営業益4割増、円安効果も>
23年4―6月期の連結営業利益は前年同期比42%増の904億円だった。自動車生産の回復や車載電池事業における米国インフレ抑制法(IRA)にかかわる補助金の計上が寄与した。
梅田博和・グループ最高財務責任者(CFO)によると、IRAの補助金について当初の想定よりも為替の水準が円安で工場の生産能力も向上しているため、前四半期より増額し450億円を計上した。年間計画の1600億円は据え置いたが、為替などの状況によっては引き上げる可能性もあるという。
一方で、情報通信関連(ICT)や工場自動化(FA)の分野では中国での需要低迷が継続しているといい、セグメント間での需要の強弱に差があるため、第2・四半期時点で見直す方針も示した。
同社は車載電池に関して、電池事業会社のパナソニックエナジーが自動車メーカーのSUBARUと電気自動車(EV)向けリチウムイオン電池の供給に関して協議を開始すると発表。日系大手自動車メーカーとしては、6月発表のマツダに続き2件目。現在、車載電池の売り上げの大半を米テスラが占めているが、顧客層の拡大につなげる。