A. Ananthalakshmi
[クアラルンプール 28日 ロイター] - マレーシアのアンワル首相は、経営が悪化している中国不動産大手、碧桂園(カントリー・ガーデン)がマレーシア南部ジョホール州で進める巨大都市開発プロジェクト「フォレストシティー」内に「特別金融ゾーン」を設置し、投資の誘致を促すと表明した。
フォレストシティーは総工費1000億ドルのプロジェクト。埋め立てで4つの人工島を造成し、2035年までに70万人の居住を目指す。住宅のほか、オフィスビル、ショッピングモール、学校も建設する。碧桂園とジョホール州の合弁会社が開発を進めている。
アンワル首相が25日発表した声明によると、投資誘致策には熟練労働者に対する特別所得税率15%や複数回の入国が可能なマルチビザ(数次査証)の発給が盛り込まれる。
ベルナマ通信によると、アンワル氏は、フォレストシティー内に近く設置する特別金融ゾーンでビジネスを行うコストを下げる方針を示した。
碧桂園は今月、ドル建て債2本の利払い(総額2250万ドル)を履行できず、中国の不動産部門の債務危機が金融セクターや景気全体に波及するのではないかとの懸念が浮上している。
碧桂園のシンガポール・マレーシア子会社は28日、フォレストシティーのプロジェクトは計画通りに進んでおり、十分な資産を保有していると表明。
「マレーシアのプロジェクトは通常通りに行われており、販売動向は良好だ」とし、地域全体の業務は「安全で安定している」と述べた。
「さまざまな債務管理措置で周期的な資金繰り圧力を積極的に解決できると考えられており、当社の将来の長期的発展を確実にできる」としている。
RHBアナリストは、今回のマレーシア政府の措置について、コストが大幅に高いシンガポールから企業や居住者を誘致する効果があると指摘。
UOBケイヒアンのディレクターも、マレーシア政府の措置は碧桂園にとって「非常にポジティブだ」と述べた。
碧桂園の株価は28日の取引で8%以上値上がりしている。
マレーシア中央銀行は同日、国内銀行について、マレーシアにある碧桂園の全額出資子会社へのエクスポージャーは6月時点の銀行システム全体の融資・債券の0.1%未満で、金融安定に対するリスクは限定的だとの認識を示した。