Stephen Nellis
[30日 ロイター] - 米政府は、米半導体大手エヌビディアの人工知能(AI)用半導体の輸出制限の対象国を中国だけでなく中東の一部の国を含む他の地域にも拡大した。同社が28日に規制当局に提出した書類で明らかになった。
米当局は、国家安全保障上の理由で輸出規制を導入するケースが多い。昨年導入した対中規制は、中国の技術力向上への警戒の強まりを示唆したが、中東への輸出にどのような懸念があるのかは明らかになっていない。
エヌビディアの提出書類によると、米政府からは5─7月期に中東の一部の国などに向けた同社製最先端半導体「A100」と「H100」の輸出を許可制に切り替えるとの通知を受けたという。中東のどの国が対象になるかは明らかになっていない。
A100とH100は機械学習タスクを高速化するために設計された半導体。輸出制限がすぐ業績に大きく影響することはないという。
また、別途出した文書で、新たな規制が「売上高の重大な部分に影響しない」とし、この問題で米政府に協力していると説明した。
同社の5─7月期決算で135億ドルの売上高の大半は米国、中国、台湾が占め、その他地域の割合は約13.9%にとどまった。中東地域の内訳は公表されていない。
エヌビディアは昨年、A100とH100の対中輸出制限について、中国による軍事転用リスクに対処するものだという説明を米当局から受けたと明らかにしている。
輸出規制を管轄する商務省はコメントの要請に応じていない。