Aditya Soni David Shepardson
[7日 ロイター] - 中国が政府職員のiPhone使用規制を強化したとの報道は、米国企業の「中国リスク」を改めて鮮明にした。アナリストは、中国政府と良好な関係を持つ企業でさえ、両国関係緊迫化の影響を免れないことを示すと指摘する。
米中関係は数年前から悪化している。米政府が半導体などハイテク分野を中心に中国包囲網を形成しているのに対し、中国はボーイングやマイクロンといった米国企業に圧力を掛けている。
関係筋によると、中国はここ数週間、政府職員によるiPhone規制を強化、一部中央政府機関の職員に公務でのiPhoneの使用を禁じた。
米下院の中国問題を扱う特別委員会のマイク・ギャラガー委員長(共和党)は7日、驚きには値せず、西側諸国の企業による市場アクセスを制限しようとする動きという認識を示した。
上院情報特別委員会のマーク・ワーナー委員長(民主党)も同様の懸念を示し、「中国経済が失速するにつれ、外国企業に対する攻撃的な動きが強まることが予想される」と述べた。
7日の米株市場では、中国へのエクスポージャーが大きいハイテク企業が米中関係の緊張の高まりで打撃を受けるとの懸念が広がった。アップルは2.9%下落。アップルのサプライヤーで中国市場へのエクスポージャーが大きいクアルコムは7%超値下がりした。スカイワークス・ソリューションズも7%超安。ブロードコム、テキサス・インスツルメンツなど他のサプライヤーも下落した。
チェリー・レーン・インベストメンツのパートナー、リック・メクラー氏は、中国からのニュースを受けて「米中関係が現在の株価、特にテクノロジー株にとって大きなリスク」であることが再び意識されたと指摘した。
関係筋によると、中国の少なくとも3つの省庁や政府機関の職員が、仕事でiPhoneを使用しないよう指示されたもよう。ただ、期限はまだ与えられておらず、禁止措置がどの程度行き渡っているかは不明という。
他の関係筋によると、明確に禁止されていないものの、iPhoneの使用に絡み問題が生じた場合は責任を問われると警告されたほか、上級職員はすでに2年前にiPhoneから華為技術(ファーウェイ) などの国内ブランドに交換するよう求められたという。
DAデビッドソンのアナリスト、トム・フォルテ氏は「アップルの中国における売上高の伸びを減速させる可能性があり、アップルが直面する新たな試練となり得る」と述べた。
<中国勢の追い上げ>
ハーグリーブス・ランズダウンの金融・市場部門責任者、スザンナ・ストリーター氏は、アップルにとって中国は製造拠点としてだけでなく、収益源としても重要だとした上で、「すでにライバル企業がハイエンドスマートフォンの販売で差を縮めており、状況がエスカレートすれば、アップルの首位の座が奪われる可能性が高まる」と述べた。
先週、中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)が新型スマートフォン「Mate(メイト)60プロ」を発表した。端末を分解調査したところ、中芯国際集成電路製造(SMIC)製の先進半導体が搭載され技術的進歩をうかがわせた。
ファーウェイもSMICも米政府の制裁対象。
米商務省は7日、半導体の構成などが米規制に違反していないか情報収集を進めていると表明。
サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)もファーウェイが使用する半導体についてさらなる情報を求めていると記者団に語った。