Tommy Wilkes
[ロンドン 13日 ロイター] - 13日公表されたシュローダーズとコーネル大学の合同調査結果によると、アジアのバングラデシュ、カンボジア、パキスタン、ベトナムの4カ国におけるアパレル業界の輸出収入は、酷暑と洪水の影響により2025年から30年までに650億ドルほど下振れする可能性がある。
双方の研究者は、「順応できる気候」を想定したシナリオと「酷暑と洪水」のシナリオに基づいて何が起きるかを推定、将来の気温と洪水により影響を分析した。
後者のシナリオでは、気温と湿度の上昇に伴い、労働者が受ける「熱によるストレス」が強まり、生産は減少する。その上、洪水により工場は閉鎖を余儀なくされる。
4カ国は世界のアパレル輸出の18%を占め、アパレルとフットウエアの工場で合計1060万人の労働者を雇用している。
酷暑と洪水の影響による全般的な生産性の低下を受け、4カ国のアパレル輸出収入は25年から30年にかけて、「順応できる気候」のシナリオと比べ650億ドル(22%)ほど減少、創出される雇用は95万人ほど少なくなると推計される。
また50年までには輸出収入は68.6%減り、創出される雇用は864万人ほど少なくなる。
さらに調査では、4カ国に展開している世界的なアパレルブランド6社のサプライチェーン(供給網)への影響を分析、酷暑と洪水は各社に大きな打撃をもたらす。例えば、あるブランドは年間営業利益の5%に相当する被害を受ける可能性がある。