Karen Freifeld
[16日 ロイター] - バイデン米政権は16日からの週内に、中国に対する人工知能(AI)用半導体輸出制限の強化を盛り込んだ新たな規制措置を公表する見通しだ。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
米政府高官の1人は、現在の規制を擦り抜けて中国にAI用半導体が輸出されている状況に歯止めをかけるのが目的だと語った。そのため今の規制対象よりもやや技術性能が劣る製品に網を広げるとともに、各メーカーに対して他の製品の出荷についても報告を義務付けるという。
この高官は今回の措置で事実上輸出が禁止される半導体の具体名は示していないが、複数の関係者の話では、米政府はエヌビディアの「H800」の輸出を阻止したいと考えている。
中国外務省の毛寧報道官は16日、貿易・技術問題を政治化・武器化せず、世界の産業・サプライチェーンの不安定化を招く行為をやめるよう米国に要請。「状況を注視し、権利と利益を断固として守っていく」と述べた。
米政府は昨年、エヌビディアが同社の最も先進的な2種類のAI用半導体を中国の顧客に販売するのを規制した。これらは対話型AIなどの開発向けに業界標準となっている製品だ。
ところがエヌビディアはその後、禁輸対象となった製品と幾つかの面では同等の性能を持つ「H800」を投入し、中国への輸出を続けている。
同高官は、今は規制していない特定の先進的なデータセンターAI用半導体の輸出も制限するような新しいガイドラインを導入する方針だと説明した。
一方でノート型パソコンなど消費者向け製品に使われる半導体には規制が適用されないとしている。ただ、最も高性能の消費者向け半導体を受注した場合は、国家安全保障を脅かす用途に使用されないことを確認するため商務省への報告が必要になるという。
新たな規制は、技術の進化に合わせてAI用半導体をカバーすることも意図している。同高官によると、米政府はガイドラインをわずかに下回る性能の半導体について、中国に出荷する前に報告するよう企業に義務付け、安全保障のリスクになるか個別の事例ごとに判断する方針。
また、ロイターは先週、中国企業が海外子会社を通じて米国のAI用半導体を入手する抜け穴をふさぐ可能性があると報じた。
一方、同高官によると、米国や同盟国のクラウドサービスへのアクセス制限は新規制に含まれない見込み。