Chibuike Oguh
[ニューヨーク 19日 ロイター] - プライベートエクイティ(PE)世界最大手の米ブラックストーンは19日、2023年第3・四半期の分配可能利益が前年同期比で12%減の12億ドルになったと発表した。高金利で不動産事業の資産売却が減少したのが響いた。
LSEGのデータによると、1株当たりの分配可能利益は0.94ドルで、LSEGがまとめた市場予想平均の1.01ドルを下回った。
ブラックストーンよると、資産売却による純利益は36%減の2億5940万ドル。金利上昇と地政学的な緊張の高まりで世界的な企業の合併・買収(M&A)が抑制されたことが重しとなった。
スティーブン・シュワルツマン最高経営責任者(CEO)はアナリスト向け電話会見で「現在の環境は有利ではないため、売却を控えた」と述べた。
実現収益は88%減の1740万ドル。手数料関連収入は5%減の11億2000万ドルだった。
CFRAのアナリスト、ケネス・レオン氏は投資家向けノートで「長期金利の上昇が手数料収入、資金調達、投資実現に影響しており、見通しは緩やかになっているようだ」と記述。投資判断を「買い」から「ホールド」に引き下げた。
ブラックストーンのジョナサン・グレイ社長はアナリスト向け電話会見で、倉庫やデータセンター、学生寮など、より耐性のあるセグメントにポートフォリオをシフトしたにもかかわらず、不動産セクターでは高金利の影響を受けたと述べた。
「米国のアパートメントビルを含むポートフォリオのその他特定分野では、成長が緩やかになっている」という。
第3・四半期にブラックストーンはPE企業として初めてS&P総合500種株価指数に採用された。時価総額は1250億ドルで、運用資産総額は1兆ドルの大台を上回り続けている。
一般会計原則(GAAP)に基づく純利益は5億5200万ドルと、前年同期の230万ドルから急増した。
ブラックストーンによると、PEポートフォリオは2.4%拡大。インフラファンドは11%拡大し、プライベートクレジットファンドは4.6%増加。オポチュニスティック(機会便乗型)不動産ファンドは2%縮小した。
第3・四半期に253億ドルの新規資本を調達し、124億ドルを新規買収に投じた。未使用資本は2006億ドル。
1株当たりの配当は0.80ドル。前四半期の0.79ドルから増えた。