[ベルリン 26日 ロイター] - 欧州最大の自動車メーカー、独フォルクスワーゲン(VW)は26日、コスト削減を進めていると表明、一部の同業他社は値下げを実施しているが、電気自動車(EV)の価格を据え置く方針を示した。利益率の改善を目指す。
アルノ・アントリッツ最高財務責任者(CFO)によると、主力の乗用車部門で進めている100億ユーロ(106億ドル)のコスト削減策には遅れが出ているが、一部の措置はすでに実施した。
同CFOは声明で「当社の利益率に満足することはできない。第3・四半期の野心的な目標の足を引っ張った」と述べた。
欧州でのEVの受注は15万台で、前年の30万台から減少。ただ第3・四半期は上半期との比較で受注が緩やかに増加しており、今後数カ月でさらに増加が見込めるという。目標は堅持するとしている。
同CFOによると、中国では、新興EV企業、小鵬汽車(シャオペン)と共同開発している2モデルを市場に投入するまで、今後1─2年、バッテリーEV市場のシェアが低下する可能性がある。
VWが26日発表した第3・四半期決算は、売上高が前年同期比12%増の788億ユーロで、営業利益は同約14%増の49億ユーロと、20日に発表した速報と同じだった。原材料のヘッジで損失を出したことが響いた。VWは、商品市場の先行きは依然不透明と指摘した。
他の製造業と同様、自動車メーカーも商品価格の変動に備えたヘッジをしている。VWは第3・四半期にヘッジで25億ユーロ(26億4000万ドル)の非現金損失が発生した。これを踏まえ、20日の決算速報発表時に通期の利益率見通しを下方修正していた。
VWは「商品市場の動向は依然として予測不可能」と表明。今後数週間で、全ブランドについてコスト削減の余地を検証し速やかに実施すると説明した。
通期の納車台数(900万─950万台)と連結売上高伸び率(10─15%)の予想は維持した。