Miho Uranaka
[東京 9日 ロイター] - ソフトバンクグループ(SBG)が9日に発表した2023年7─9月期の連結最終損益(国際会計基準)は9311億円の損失だった。4─6月期の4776億円から赤字幅が広がった。
傘下の英半導体設計大手アームの上場でビジョン・ファンド(VF)の運用成績が改善、外部の投資家への分配金の支払いが増加した上、為替が想定よりも円安方向で推移し為替差損を計上したことも利益を押し下げた。
人工知能(AI)関連企業に投資するビジョン・ファンド(VF)単体の損益は213.6億円の黒字。4―6月期は1597億円の黒字だった。
2四半期連続で黒字を確保したことに関して、後藤芳光・最高財務責任者(CFO)は会見で、「環境がまだまだ厳しいなかでも、最悪期を脱していることが再確認できる」と述べた。純資産価値(NAV)は15.5兆円から16.4兆円に伸びた。新規投資を再開したものの、引き続き慎重に案件発掘を行うとした。
<ウィーワーク破綻、非常に残念>
SBGが出資し、6日に米連邦破産法11条の適用を申請したシェアオフィス大手の米ウィーワークについては、4―9月期で約2340億円の損失を計上した。VF1とVF2が保有する同社株式とワラントの帳簿価額を9月末現在の市場価値である177億円まで落としたほか、VF2が保有する同社債券の帳簿価額は0円まで引き下げた。
また、金融機関のウィーワークへの支払い保証枠に対するVF2のクレジットサポート分は全額を金融保証契約損失評価引当金として計上した。
SBGによると、債券と株など合わせて140億ドル程度のエクスポージャーがあったという。後藤CFOは、「非常に残念。結果を真摯に受け止めて今後の投資活動に生かす」といい、さらなる大きな影響はないとの認識を示した。
9月に新規公開したアーム株の売却益相当額は46.5億ドルだったが、引き続き連結子会社であるため、会計法上連結の損益計算書には反映されていないと説明した。
SBGは通期の業績見通しを開示していない。IBESがまとめたアナリスト9人による連結純損益予想の平均値は129億円の黒字。