Pete Schroeder
[9日 ロイター] - 中国工商銀行(ICBC)の米国法人が身代金要求型コンピューターウイルス「ランサムウエア」によるサイバー攻撃を受けた影響で、9日の米国債市場の一部取引に混乱が生じた。ただ、市場筋によると、限定的な影響にとどまったとみられる。
ICBCファイナンシャル・サービシズは、この攻撃で特定のシステムに障害が発生したとし、調査と復旧作業を進めていると表明した。
8日に行われた国債取引や9日の債券貸借(レポ)取引の決済に問題はなかったとした。
ブルームバーグはその後、関係者の話として、攻撃はロシアとつながりがある犯罪集団「ロックビット」が仕掛けた疑いがあると報じた。
一部の市場参加者はこの攻撃が原因でICBC経由の取引を決済できず、市場の流動性に影響を与えたと語った。9日の30年国債入札の低調な結果につながったかどうかは不明。
ルーミス・セイレスのアソシエート・ポートフォリオマネジャー、マイケル・グラッドチュン氏は、技術的問題で一部の参加者が市場の機能を完全に使えなかった可能性があると指摘した。
英紙フィナンシャル・タイムズが9日伝えたところでは、米国証券業金融市場協会(SIFMA)は加盟金融機関に、ICBCがランサムウエア攻撃で他の市場参加者を代行して米国債を決済できなくなったと通知した。
財務省の広報担当者はこの報道について「われわれはサイバーセキュリティー関連の問題が起きていることを認識しており、連邦政府の各規制当局に加えて主要金融セクターの参加者とは通常の連絡を行っている。状況の注視を続ける」とコメントした。
LSEGのデータでは米国債市場は通常通り機能しているもよう。