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バフェット効果も成長性は織り込まれず=三菱商事執行役員

発行済 2023-11-17 14:53
更新済 2023-11-17 14:54
© Reuters. 三菱商事でステークホルダー関連部門を統括する小林健司執行役員は、ロイターのインタビューで足元の株価は成長性が織り込まれておらず「まだまだアンダーバリューだ」と指摘、企業価
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Miho Uranaka Anton Bridge

[東京 17日 ロイター] - 米著名投資家、ウォーレン・バフェット氏の追加投資で市場の注目を集めた日本の商社株の中で、時価総額が最大の三菱商事の株価も年初から7割の上昇を見せた。同社でステークホルダー関連部門を統括する小林健司執行役員は、足元の株価は成長性が織り込まれておらず「まだまだアンダーバリューだ」と指摘、企業価値を伝えていく必要があるとの認識を示した。

ロイターのインタビューで語った。

<コングロマリットへの認識に変化>

バフェット氏が率いる投資会社バークシャー・ハザウェイは子会社を通じて三菱商事の株式を現在8.31%保有する。小林執行役員は、同社の追加投資により、資源から小売りまで幅広い事業を手掛ける「コングロマリット」の業態を嫌がる傾向にあった海外の機関投資家との面談の「ハードルが下がった」と話す。過去半年間で投資家との面談を約200件行い、うち100件以上が海外の機関投資家だった。昨年から海外投資家向けの面談数は倍増したという。

小林執行役員は、脱炭素やDX(デジタルトランスフォーメーション)などを基点として、世界的に構築されたこれまでの産業構造が変化する中、新しいバリューチェーンにおいて幅広い産業に関わっていることが強みであり「コングロマリットバリュー」だと指摘。「今まで以上に腹落ちしている投資家が増えてきた」という。

<投資本格化はこれから>

同社の時価総額は大台の10兆円を上回る一方、株価収益率(PER)は、東証プライム市場全銘柄平均の15倍を下回る10倍にとどまる。株価純資産倍率(PBR)は節目の1倍を超えたが、1.1倍は伊藤忠商事の1.6倍など他社に比べ見劣りする水準だ。

小林執行役員は投資家に、競争優位性があるとの認識は広がっているが、「これを実現していくという部分が株価に織り込まれていない」と分析する。三菱商事は、累計3兆円を超える投資候補先を掲げ、24年度を最終年度とする中期経営計画の期間中に、選別して投資するとしているが、現時点では「中長期の成長に繋がるインパクトのある投資を示せていない」とし、「まずはこれを実現することが重要」と語った。

9月末の株主判明調査のデータを見ても、「グロース志向のアクティブ投資家からの投資の本格化は、まだこれから」だという。成長に対する信頼度を高めるために、「エンゲージメント(対話)の強化がますます重要になる」と強調した。

小林執行役員は今年4月、社長直下で新設されたチーフ・ステークホルダー・エンゲージメント・オフィサー(CSEO)に就任した。株主・投資家、メディア、非政府組織(NGO)などに財務情報だけではない企業の価値を伝えていくことの重要性を認識した中西勝也社長から「喫緊の課題」として任命されたという。

三菱商事は、投資家との対話を強化する一環で、これまで証券会社に任せていた投資家の選定を自社で行い、接触する投資家の幅を広げた。開示範囲も広げ、資産効率の悪い資産の入れ替え・収益改善の方向性や進捗も開示してきている。大和証券の永野雅幸シニアアナリストは「こうした開示は、以前と比較すると、大きく改善しており、投資家との向き合い方の変化を示している」と評価している。

*インタビューは16日に実施しました。

(浦中美穂、Anton Bridge 編集:石田仁志)

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