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衝突した海保機、事故前24時間以内に震災対応で2回飛行=関係者

発行済 2024-01-05 12:56
更新済 2024-01-05 13:00
© Reuters. 2日に日本航空(JAL)機と衝突した海上保安庁の航空機が、事故前の24時間以内に2回、能登半島地震の対応で被災地方面へ派遣されていたことが分かった。写真は羽田空港で5日撮

Nobuhiro Kubo

[東京 5日 ロイター] - 2日に日本航空(JAL)機と衝突した海上保安庁の航空機が、事故前の24時間以内に2回、能登半島地震の対応で被災地方面へ派遣されていたことが分かった。年始で羽田空港が混雑する中、民間機の離発着の合間を縫って緊急フライトが複数回発生していたことになる。

海保関係者によると、海保のMA722固定翼機は地震発生から約2時間後の1日午後6時ごろ、東京の羽田空港を出発。地震の被害状況を確認するため富山県、佐渡島、新潟県の沿岸を飛行し、午後9時半ごろ羽田へ帰投した。さらに午後11時ごろ、特殊救難隊を乗せて石川県の小松空港へ出発し、2日午前2時半ごろ羽田に戻った。

事故が起きたのはそれから半日以上過ぎた2日午後5時47分。MA722は午後4時45分に羽田航空基地の格納庫を出て、新潟航空基地へ被災地向けの物資を運ぶため離陸準備をしていたところ、着陸してきたJAL516便と滑走路上で衝突した。

ロイターは、フライトデータ追跡サイトのADS-B Exchangeでもこれらの飛行があったことを確認した。前出の関係者によると、3回ともそれぞれ異なる機長がMA722を操縦していた。

<世界で3番目に混雑する空港>

英国の旅行データ調査会社オフィシャル・エアライン・ガイドによると、羽田は世界で3番目に混み合う空港で、航空業界の情報を扱うシリウムのデータをロイターが分析したところ、昨年12月は1日当たり1290回の離発着があった。

年末年始や大型連休は特に混雑する傾向にあり、事故について2日夜に会見した国土交通省の平岡成哲航空局長は「羽田は日本で一番忙しい空港。当日は容量いっぱいで使われていた」と説明した。

震災を受けた緊急フライトや、空港が混雑していたことが事故発生に何らかの影響を与えたかどうかは分かっていない。国の運輸安全委員会と警視庁が事故の調査・捜査を進めている。

元JAL機長で航空評論家の小林宏之氏は3日、ロイターとの取材で「航空機の事故というのは1つの不具合、トラブルで即事故になるということは非常に少なく、今回も2つ3つの不具合が重なったのだと思う」と指摘していた。

<事故前日に中国船対応で沖ノ鳥島へ>

国交省が3日に公表した管制官との交信記録によると、MA722は滑走路手前の停止位置まで進むよう指示を受けていたが、滑走路内への進入や離陸を許可された形跡はなかった。MA722はJAL機と衝突し、乗員6人のうち5人が死亡した。

同関係者によると、脱出した宮本元気機長は事故前日の1日、日本最南端の沖ノ鳥島周辺で活動する中国海洋調査船への対応に当たっていた。ガルフV固定翼機で午前10時ごろ羽田を発ち、震災直後の午後5時ごろ帰投した。この時点で翌日の新潟行きのフライトは決まっていなかったという。

海保によると、MA722は仙台空港で定期検査中の2011年3月、東日本大震災で津波被害に遭い、12年に復旧して羽田航空基地に帰還した。

(久保信博 取材協力:杉山聡、金子かおり、Lisa Barrington 編集:橋本浩、John Geddie)

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