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アングル:拡張現実技術、米都市開発での利用広がる 課題も山積

発行済 2024-01-21 07:59
更新済 2024-01-21 08:00
© Reuters.  1月18日、米首都ワシントンで、アフリカ系市民の活動拠点となっているフランクリン・D・リーブス・センターの建て替え計画が明らかになった。写真は2020年1月、ラスベガス
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Carey L. Biron

[ワシントン 18日 トムソン・ロイター財団] - 米首都ワシントンで、アフリカ系市民の活動拠点となっているフランクリン・D・リーブス・センターの建て替え計画が明らかになった。どんな姿になるのか興味津々の人々は、歩道に描かれたQRコードをスキャンし、スマートフォンを建物にかざすだけで、すぐにプロジェクト完成後の様子を具体的に知ることができた。3次元(3D)グラフィックスと拡張現実(AR)という「魔法」のおかげだ。

プロジェクトに参加している建築家のマイケル・マーシャル氏は 「このツールを使えば未来の姿を現実に存在するもののように見ることができる」と驚きを隠さない。「われわれの提案に住民が参加できる。これは貴重なことだ」と付け加えた。

このパイロットプロジェクトで使われたアプリを開発したのは、都市計画のARを専門とするスタートアップ企業インシトゥ(inCitu)。創設者で元建築家のダナ・チャーメッシュ・レシェフ氏はこのアプリについて「既に存在しているにもかかわらず、さまざまな機関のウェブサイトやデータベースに埋もれてしまっている情報へのアクセスを根本から改善し、誰でも入手できるようにする」と説明。都市計画のプロセスは公開されているが、実際のところ、よりアクセスしやすいのは一般的に、若くない裕福な、多くは白人の市民だと指摘した。

フランクリン・D・リーブス・センターの建て替えプロジェクトは世界各地の都市、特に時として疎外されたコミュニティーでの生活改善にARがどのように使われているかを示す一例だ。

また米国の各都市は、視覚障害者の支援や人々の結びつきなどにARを活用している。こうした都市開発におけるARの利用はメタバース(仮想空間)技術拡大の一部を成している。

しかし専門家は、住民の間でARがさらに普及したときに起きるだろう課題に対して、市当局は準備ができていないと警告している。デジタル空間と物理空間の融合はプライバシーやデータの保護など法的・倫理的な問題を引き起こすのに対して、こうした課題はまだ十分な検討されていないという。

ニューヨーク州のコーネル工科大学ジェイコブズ研究所のグレッグ・リンゼイ氏は「都市はこうした問題に対して全く備えがない。存在しない技術、あるいは生まれたばかりの技術を規制するのにどのような準備が必要だろうか」と問いかける。

<ポケモンGOの教訓>

ABIリサーチによると、2030年までに700近い都市が、仮想現実(VA)やARのアプリなど、何らかの都市メタバース技術を展開している公算が大きい。こうした技術は既に各地で利用されており、ニューヨークでは昨年、大規模なARコンサートが開かれ、観客はタイムズスクエアに集まってバーチャルなコンサートを鑑賞した。ジョージア州ディケーター市ではブルートゥース(近距離無線通信)技術を使った発信機とアプリを導入し、視覚障害者が市庁舎や警察署、レクリエーションセンターなどで案内用に利用できる。

こうした「拡張された都市」(リンゼイ氏)を理解する上で、GPSとARを駆使して現実世界で仮想の生き物を探すゲーム「ポケモンGO」の驚きの成功は教訓になるかもしれない。

ポケモンGOのユーザーは仮想の生き物を見つけるために歩き回るが、ポケモンを捕まえるのに役立つ道具などが入手できる「ポケストップ」(公園のベンチやレストランなどに設定される)で時間を過ごすよう仕向けられる。ポケストップの指定を受けるために多額の報酬を支払う店もある。2016年にリリースされたポケモンGOは爆発的にヒット。プレーヤーが公共スペースに群がり、交通事故や強盗が発生したほか、怪我人が出るなど、仮想世界が都市に与える影響が浮き彫りになった。

経済的な効果もあり、専門家によるとゲームに登場するレストランは客足が伸び、プラスの宣伝効果があった。

専門家によると、その後端末が眼鏡型のような「ウェアラブル」へと進化しているにもかかわらず、ほとんどの地方自治体はまだ過剰な混雑といった問題に対処する準備ができていない。

<プライバシー保護に課題>

都市がAR技術を導入する際のもう一つの課題はデータとプライバシーの権利が確実に守られるようにすることだと、全米都市連盟のジュリア・グリックマン氏は指摘。「サイバーセキュリティーとデータプライバシーの原則を作ることが重要な出発点だ」と訴えた。さらに当局が新しいメタバースプラットフォームにまつわる誤情報に対処し、デジタルアクセスを確保する努力を一層強める必要があると強調した。

コーネル工科大のリンゼイ氏らは、アップルやメタが新しいヘッドセットや眼鏡型端末技術を展開しているほか、他のハイテク企業が高性能GPSのようなシステムの開発に取り組んでいることから、一般市民によるARツールの利用が爆発的に増加すると予測している。

© Reuters.  1月18日、米首都ワシントンで、アフリカ系市民の活動拠点となっているフランクリン・D・リーブス・センターの建て替え計画が明らかになった。写真は2020年1月、ラスベガスで開かれた「テクノロジー見本市(CES)」で、ARのヘッドセットを装着する来場者(2024年 ロイター/Steve Marcus)

眼鏡型端末に限っても22年の市場規模は全世界で12億ドル(約1780億円)と推定され、30年まで年率27%強の成長が見込まれている。

技術開発によって仮想世界と現実世界の融合がますます進めば、広告、徴税、私有財産、公共スペースなどを管理する規制に関連する課題はますます複雑になると危惧する声もある。

フィラデルフィア市の元最高情報責任者、マーク・ウィーラー氏は、ポケモンGO現象は物理世界とデジタル世界の融合があっという間に起こりうるという「明確な警告だ」と言い切る。ただちに規制当局が対応する必要はないとしながらも、拡張される可能性の高い未来に備えて計画を練るよう促している。「民間セクターがARやVRで何をしようとしているのか、市当局は気づかないだろう。長期間にわたり水面下で進められるからだ」という。

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