Selena Li Xie Yu
[香港 25日 ロイター] - 香港で25日開かれたアジア金融フォーラムのパネル討論会では、地政学的緊張、米大統領選、中国の政策不透明感を背景に今年も対中投資への自信が揺らぎ、投資家が高収益を求めてインドなど他の市場に関心を寄せるとの見解が示された。
英資産運用会社Abrdnの投資担当グローバル最高経営責任者(CEO)、レネ・ビュルマン氏は「(中国の状況は)説明が非常に難しい」と発言。
「バリュエーションがかなり低いことは周知の事実で、われわれのポートフォリオには素晴らしい企業がある」とした上で、信頼が回復するまで海外資本は戻らないだろうと述べた。
信頼回復には単一の措置ではなく、中国政府の政策の体系的な変更が必要になるとの認識も示した。
ブリッジウォーターの共同最高投資責任者(CIO)ボブ・プリンス氏は、デフレ、低調な雇用、地政学的な緊張が中国経済の逆風になっていると指摘した。
「中国の問題は新型コロナウイルスの影響で生じている。経済は弱すぎる」と述べ、デフレが企業収益性を損ない債務問題を悪化させていると分析した。
地政学的問題も中国からの「資本の流出」を引き起こしているが、現在はリスクプレミアムにより中国の資産は魅力的だと述べた。
香港取引所(HKEX)のニコラス・アグジンCEOは、香港株式市場は地政学的要因や米中間の緊張の影響を受けていると発言。
今年は11月の米大統領選が投資家の確信を左右するとも述べた。
また、自己勘定投資家やヘッジファンドが焦点を移し始め、このところ香港市場に新たな資金が流入していると指摘した。
香港のハンセン株価指数は22日に1年3カ月ぶり安値を付けた。その後持ち直したが、それでも月初から6%超下落している。
UBSの最高投資オフィスAPACを統括するミン・ラン・タン氏は、投資家が中国以外の選択肢を探しており、インドが「将来の不可欠な要素」になると指摘。
「インドは次のレベルに進む余地が残っている。現時点で多くの公共インフラ、安定した人口動態、投資率の上昇が見られるためだ」と述べた。
「米大統領選が11月にあり、中国への圧力が強まるかも重要なポイントだ」との見方も示した。