Miho Uranaka
[東京 8日 ロイター] - ソフトバンクグループが8日に発表した2023年10―12月期の連結最終損益(国際会計基準)は9500億円の黒字だった。黒字は5四半期ぶり。人工知能(AI)関連企業に投資するビジョン・ファンド(VF)の投資利益が拡大した。7─9月期は9311億円の損失だった。
20年に傘下の旧スプリントが米通信大手TモバイルUSに吸収合併された際に対価の一部として受領した条件付対価の条件が充足されたことから、23年12月に77.4億ドル(1.1兆円)相当のTモバイル株を無償で取得したことも貢献した。条件付対価の価値上昇に伴うデリバティブ関連利益のほか、従来から保有するTモバイル株と合わせて投資の評価利益を計上した。
VFの投資利益は6007億円で、7―9月期の213億円から大きく伸びた。
後藤芳光・最高財務責任者(CFO)は決算会見で「久しぶりの四半期損益の黒字で、少々ほっとした」と話す。重要視する保有資産価値から純有利子負債を差し引いたNAV(時価純資産)も23年12月末は19.2兆円で9月末の16.4兆円から増大。保有する英半導体設計大手アーム株とTモバイル株などが貢献している。
4四半期連続でNAVが改善していることから、後藤CFOは「(NAVは)今、再び上昇傾向にある」とし、「この1―2年は、安定した成長を見込みたい」と語った。SBG株の時価総額が、NAVに対して大きくディスカウントされているが、株価上昇にはNAVの成長が最も重要で、自己株取得よりも「ステップとしては先に来る」との考えを示した。
VFについては、未公開の投資先が相次いで資金調達を実現したとし、プライベートエクイティの市場環境が好転していると説明。VFでの投資は3億ドルにとどまったが、「優良企業にしっかり投資していく」期初からの方針に変わりはないという。累積投資損益の黒字化も、まもなくとの認識を示した。
SBGは通期の業績見通しを開示していない。IBESがまとめたアナリスト12人による連結純損益予想の平均値は5361億円の赤字だった。
SBGの株価は、傘下の英半導体設計大手アーム・ホールディングスが7日に発表した決算を受けて、株価が急騰したことなどが好感され、8日の終値は前日比11%高の7350円となった。