*15:33JST 京葉瓦斯 Research Memo(3):成長性と効率性の高い地盤を特徴とする
■事業概要
1. ガス事業
京葉瓦斯 (TYO:9539)は、市川市・船橋市・松戸市・柏市・鎌ケ谷市・浦安市・白井市など千葉県北西部を主な供給区域として、都市ガスを製造・供給・販売する事業を行っている。
連結子会社の京和ガス(株)は、同社からガスの卸供給を受け、流山市を主な供給区域として都市ガスを供給・販売する事業を行っている。
持分法適用関連会社のなのはなパイプライン(株)は、同社の将来にわたる原料調達の安定化を目的にガス導管の運営を行っている。
また、同社が製造するガスの原料の一部は、その他の関係会社(大株主)の(株)南悠商社から仕入れている。
なお、1928年に操業を開始した同社主力の市川工場は、当初は石炭を原料に、その後は原料を千葉県産天然ガスや石油系に切り替えて都市ガスを製造してきたが、天然ガスの受け入れ拠点が増えたため、2006年3月に稼働を停止した。
同社ガス事業の特徴は、供給区域が東京のベッドタウンである千葉県北西部という、人口密度が高いうえ人口そのものも増加傾向にある肥沃な地盤にある。
このため他のガス事業者と比べて成長性があり、導管輸送効率が高く、集合住宅も多いため毎月行われる検針や4年に1回行われる検査の効率も良い。
調達元は主として東京ガスで、ほかに都市ガスの原料であるLNGを燃料として輸入する東京電力ホールディングス (TYO:9501)(以下、東京電力)や千葉県産の天然ガスもある。
3ルートとも品質に大きな違いはない。
とはいえ、東京ガスからは製品として調達できるが、東京電力からはLPGで熱量調整する必要があるためそうしたコストが若干反映される。
また、足元円安なので千葉県産天然ガスが相対的に有利になるはずだが、採掘制限があるため一定量しか利用できない。
これに対して売上高(販売単価)は、競争のなかでコスト上昇を反映することは難しいようだ。
電力同様に都市ガスも自由化された(自由化は小売であって、ガス導管事業の地域独占は残っている)ため、同社の供給区域にも日本瓦斯 (TYO:8174)(ニチガス)やENEOS(株)といった新ガス事業者が参入したが、現在、事業環境の変化もあって新規事業者による参入は落ち着いている状況である。
再開発事業「リーフシティ市川」を手掛ける
2. その他の事業
同社は、都市ガス事業以外にも、電力小売や不動産、ガス工事・ガス機器販売など多角化を目的に様々な事業を展開している。
(1) 電力小売事業
同社と京和ガスは、主として都市ガスの顧客を対象に、いわゆる新電力事業者として電気の販売を行っている。
ガスと電気のセットで値頃な価格を提示しており、同じ請求システムを用いているのでコストシナジーを享受している。
また、事業者向けには、価格に加えてガスと電気のベストミックスも提案している。
電力小売事業は、制度が安定せず、また価格のボラティリティが高まるとやや難易度の高い事業となる。
2022年に原油価格の急騰を背景に調達コストが大きく上昇、制度も不安定化するなど、近年事業環境は厳しくなっている。
(2) 不動産事業
連結子会社の京葉ガス不動産(株)が不動産の賃貸などを行う一方、同社は京葉ガス不動産から事務所建物の一部を賃借し、土地の一部を賃貸している。
不動産事業は賃貸収入が中心で安定収益が特徴のため、今後も引き続き注力していく方針である。
なお、現在、JR市川駅南側の本社ビルに隣接した市川工場跡地約3.8ヘクタールで、再複合開発事業「リーフシティ市川」を手掛けている。
リーフシティ市川には、定借分譲マンションやシニア住宅、賃貸共同住宅、大型スーパーなどが建築される予定である。
定借分譲マンションは29階建て672戸で、2023年11月に着工しており、完成は2026年12月の見込みとなっている。
2025年夏に開業予定のシニア住宅は10階建て181戸、大型スーパーは約7,000m2の敷地面積に2階建てで延べ床面積約10,500m2の建屋となる。
このほか、賃貸共同住宅9階建て235戸、はワンルームを主体にファミリータイプも計画しており、中央広場・運動場、地域貢献施設も建設する予定である。
2023年12月には、リーフシティ市川の南側にコンビニエンスストアが先行して開店した。
(3) その他事業(ガス工事・ガス機器販売等)
同社と京和ガスは、都市ガス事業に関連してガス機器の販売を行っている。
また、顧客の申し込みによりガス内管工事を行っている。
同社が販売するガス機器の一部を、持分法適用関連会社の京葉住設(株)から仕入れている。
このほか、連結子会社の京葉ガスカスタマーサービス(株)で、ガスメーターの検針や料金収納徴収業務の受託などを行っており、持分法適用関連会社の京葉ガス情報システム(株)では、コンピュータによる情報処理サービスなどを提供している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
1. ガス事業
京葉瓦斯 (TYO:9539)は、市川市・船橋市・松戸市・柏市・鎌ケ谷市・浦安市・白井市など千葉県北西部を主な供給区域として、都市ガスを製造・供給・販売する事業を行っている。
連結子会社の京和ガス(株)は、同社からガスの卸供給を受け、流山市を主な供給区域として都市ガスを供給・販売する事業を行っている。
持分法適用関連会社のなのはなパイプライン(株)は、同社の将来にわたる原料調達の安定化を目的にガス導管の運営を行っている。
また、同社が製造するガスの原料の一部は、その他の関係会社(大株主)の(株)南悠商社から仕入れている。
なお、1928年に操業を開始した同社主力の市川工場は、当初は石炭を原料に、その後は原料を千葉県産天然ガスや石油系に切り替えて都市ガスを製造してきたが、天然ガスの受け入れ拠点が増えたため、2006年3月に稼働を停止した。
同社ガス事業の特徴は、供給区域が東京のベッドタウンである千葉県北西部という、人口密度が高いうえ人口そのものも増加傾向にある肥沃な地盤にある。
このため他のガス事業者と比べて成長性があり、導管輸送効率が高く、集合住宅も多いため毎月行われる検針や4年に1回行われる検査の効率も良い。
調達元は主として東京ガスで、ほかに都市ガスの原料であるLNGを燃料として輸入する東京電力ホールディングス (TYO:9501)(以下、東京電力)や千葉県産の天然ガスもある。
3ルートとも品質に大きな違いはない。
とはいえ、東京ガスからは製品として調達できるが、東京電力からはLPGで熱量調整する必要があるためそうしたコストが若干反映される。
また、足元円安なので千葉県産天然ガスが相対的に有利になるはずだが、採掘制限があるため一定量しか利用できない。
これに対して売上高(販売単価)は、競争のなかでコスト上昇を反映することは難しいようだ。
電力同様に都市ガスも自由化された(自由化は小売であって、ガス導管事業の地域独占は残っている)ため、同社の供給区域にも日本瓦斯 (TYO:8174)(ニチガス)やENEOS(株)といった新ガス事業者が参入したが、現在、事業環境の変化もあって新規事業者による参入は落ち着いている状況である。
再開発事業「リーフシティ市川」を手掛ける
2. その他の事業
同社は、都市ガス事業以外にも、電力小売や不動産、ガス工事・ガス機器販売など多角化を目的に様々な事業を展開している。
(1) 電力小売事業
同社と京和ガスは、主として都市ガスの顧客を対象に、いわゆる新電力事業者として電気の販売を行っている。
ガスと電気のセットで値頃な価格を提示しており、同じ請求システムを用いているのでコストシナジーを享受している。
また、事業者向けには、価格に加えてガスと電気のベストミックスも提案している。
電力小売事業は、制度が安定せず、また価格のボラティリティが高まるとやや難易度の高い事業となる。
2022年に原油価格の急騰を背景に調達コストが大きく上昇、制度も不安定化するなど、近年事業環境は厳しくなっている。
(2) 不動産事業
連結子会社の京葉ガス不動産(株)が不動産の賃貸などを行う一方、同社は京葉ガス不動産から事務所建物の一部を賃借し、土地の一部を賃貸している。
不動産事業は賃貸収入が中心で安定収益が特徴のため、今後も引き続き注力していく方針である。
なお、現在、JR市川駅南側の本社ビルに隣接した市川工場跡地約3.8ヘクタールで、再複合開発事業「リーフシティ市川」を手掛けている。
リーフシティ市川には、定借分譲マンションやシニア住宅、賃貸共同住宅、大型スーパーなどが建築される予定である。
定借分譲マンションは29階建て672戸で、2023年11月に着工しており、完成は2026年12月の見込みとなっている。
2025年夏に開業予定のシニア住宅は10階建て181戸、大型スーパーは約7,000m2の敷地面積に2階建てで延べ床面積約10,500m2の建屋となる。
このほか、賃貸共同住宅9階建て235戸、はワンルームを主体にファミリータイプも計画しており、中央広場・運動場、地域貢献施設も建設する予定である。
2023年12月には、リーフシティ市川の南側にコンビニエンスストアが先行して開店した。
(3) その他事業(ガス工事・ガス機器販売等)
同社と京和ガスは、都市ガス事業に関連してガス機器の販売を行っている。
また、顧客の申し込みによりガス内管工事を行っている。
同社が販売するガス機器の一部を、持分法適用関連会社の京葉住設(株)から仕入れている。
このほか、連結子会社の京葉ガスカスタマーサービス(株)で、ガスメーターの検針や料金収納徴収業務の受託などを行っており、持分法適用関連会社の京葉ガス情報システム(株)では、コンピュータによる情報処理サービスなどを提供している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)