[日本インタビュ新聞社] - ■FOMCと日銀金融政策会合、7月の同時開催でマーケット注視
本当に「ハト派」なのか、それとも「ハト派」の羽根の下に「タカ派」の鎧を隠しているのか仕切り直しとなった。7月に1カ月半先延ばしとなる。前週に開催が相次いだFRB(米連邦準備制度理事会)のFOMC(公開市場委員会)と日本銀行の金融政策決定会合である。FOMCでは、政策金利の年内引き下げ回数が3回から1回に修正され、金融政策決定会合では長期国債の買い入れ額減額の検討が決定されたが、いずれもマーケットでは「ハト派」的として受け取られ、初期反応はイベント通過後の株高となった。しかしこれで一件落着とは受け取り難い。
7月も、今度は30日、31日と日米同時にFOMCと金融政策決定会合が開催予定である。ここまでに米国のインフレ抑制と景気のソフトランディングが確認されるのか、日銀の国債買い入れ減額が政策金利の引き上げを伴わないのか持ち越しとなっており、この決定次第では、サマーラリーで盛り上がるのか夏枯れ相場で閑古鳥が鳴くのか重要分岐点になる。その間、米国の経済指標や為替の円安・円高などに一喜一憂する暑い毎日が続きそうだ。
7月は、この金融イベントの影に霞んでいるが実はもう一つ重要イベントがある。7月26日に開会式を迎えるパリ・オリンピックである。あの東京オリンピック・パラリンピックから3年が経っての開催である。東京五輪は、いろいろと問題の残る大会であった。コロナ禍の影響を受け1年延期して開催され無観客競技が多数にのぼり、閉幕後には、組織委員会の元理事への贈賄事件が摘発される後味の悪さが残り、冬季オリンピックの再開催を探っていた札幌市は、招致活動の断念に追い込まれた。
■ブレークダンスの人気が大会全体の活況を左右する可能性
パリ五輪も、ヨーロッパの裏庭のウクライナとパレスチナの2つの戦場で戦争が継続されているなかでの開催である。しかもフランスでは、下院の総選挙が終わったあとの開催でマクロン大統領の顔色にもカメラが集中することが予想される。パリ五輪が、本当に「平和の祭典」として盛り上がりをみせるのかいささか懸念されるポイントは少なくない。ただ東京五輪でも、個人的な思い込みで申訳ないが、感動を呼んだ競技があった。東京五輪で採用され新種目の一つのスケートボードである。
日本選手のメダルラッシュとなったことはもちろんだが、内外のまだ10代前半の選手らが、勝者も敗者も互いの試技をリスペクトし合い、敗者は勝者の大技に拍手をし、勝者は敗者の失敗を慰めるこれまでのスポーツ・カルチャーとは異なる側面をみせたことが感動を呼んだ。しかも、この競技人気が波及して株式市場でも、関連の意外株が浮上した。モリト<9837>(東証プライム)である。同社は、服飾付属品を扱う衣料商社だが、スケートボードやサーフボード、グッズでも取り扱い実績があり、五輪後のこの年は11月期業績を2回上方修正し2回増配した。株価は、700円台での限定的な反応にとどまったが、その後は認知度の向上とともに上値を伸ばし、足元では1500円台にいる。スケートボードは、パリ五輪でも競技種目として継続実施される。
■もう一つの7月イベント・パリ五輪は新種目の「ブレーキン」次第で金メダル候補に浮上も
ということでパリ五輪は、競技内容の盛り上がり、なかでも新採用の新種目の動向が成功、失敗のカギになる可能性がある。そこで株式市場で注目されているのが、新種目のブレークダンス(ブレーキン)である。1970年代の米国のニューヨクでギャング同士の抗争をダンスで決着するために生まれたといわれており、ホップ・カルチャーとして世界中に広まった。日本国内でも、すでにプロリーグが活動中で、日本選手は世界選手権で優勝するなど、パリ五輪の有力なメダル候補となっている。
ブレーキン人気が高まれば、パリ五輪全体が株価材料として浮上することになりマークは怠れない。パリ五輪のスポンサー企業、メダル候補選手が多数所属する企業、スポーツ関連株、パリ五輪を生中継のテレビ株やスポーツパブ株などに幅広く網を張り、7月26日に開会式を迎えるもう一つのビッグ・イベントに備えたい。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)