*16:01JST 対中包囲網・石破案「アジア版NATO」をASEAN諸国がどう見たかを中国が分析【中国問題グローバル研究所】
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信している遠藤 誉所長の考察をお届けする。
中国共産党機関紙「人民日報」の姉妹版「環球時報」や青年版「中国青年報」が一斉に「アジア版NATO」に対するASEAN諸国の反応を報道した。
石破・李強会談を経て、自信を強めたという勢いが読み取れる。
二紙の考察と中国ネット民の雑感を紹介する。
◆環球時報社評:「アジア版NATO」がASEANで壁にぶつかった事実は何を物語るのか?
10月12日、環球時報は(※3)という見出しで、おおむね以下のような内容の報道をした。
●石破茂首相は日本政界の「古き顔(老面孔)」としてASEANで外交デビューした。
しかし彼が到着する前に、インドネシアのジャカルタ・ポストから「アジア版NATO」に対する単刀直入の警告を受けた。
●ジャカルタ・ポスト紙によると、中国、米国、EU、日本はASEANの貿易相手国であるものの、2020年以降、ASEANの最大貿易相手国は中国であり続けている。
ASEAN諸国にとって、日本やその同盟国が「ASEANはインド太平洋地域の中心だ」と主張して「密かにASEANをまとめて中国に立ち向かわえようとしているもくろみ」は、まったく非現実的であり、到底受け入れられるべきものではない。
ASEANは、日本が地域の緊張を悪化させるだけの「軍事同盟国」ではなく、信頼できる貿易・経済パートナーになることを望んでいる。
●日本の経済力が衰退し、ASEANの力が大きくなる中で、石破茂は今でもまだ「日本はASEAN諸国のリーダーを引きつけるほどの影響力を持っている」という幻想を抱いているのだろうか。
日本政界の「古き顔」は、世界情勢の事実認識に関しても「古き視点」しか持ってないのかもしれない。
(以上、中国青年報から抜粋)
◆中国ネット民:石破茂は総理になって初めて世界の現実を知ったのではないか?
中国のネットでは「日媒称」(日本メディアによれば)とか 「美媒称」(アメリカメディアによれば)という書き出しで、実に多くの情報が即時的に中国語に訳されて報道されている。
中国のネット民はそれらを熱心に読んでいる者が多いので、実に当意即妙を得た反応が数多く見られる。
それらを列挙するのは至難の業だが、「中国青年報」で取り扱っているようなテーマに関する書き込みを拾い上げると、たとえば以下のようなものがある。
●石破茂は自民党で長い間「干されていた」ので、現在進行形の世界情勢を認識する力がないんじゃないの?
●日本の政治評論家が石破内閣を「在庫一掃内閣」と評していたけど、あれって、おもしろいよね。
今まで主流派から外されていた人たちをかき集めたんだろ?
●石破茂は「防衛問題オタク」って言われているようだけど、家の中で組み立てたプラモデルで構築した「アジア版NATO」は、机上の空論だったってことが、総理になって初めて分かったんじゃいの?
●そうじゃないと、自民党総裁選の選挙運動の時にあれだけ主張しておきながら、総理になったとたんに引っ込めるって、おかしいだろ?
●西側式の民主主義って、ほんとにいいのかね?選挙公約は当選した瞬間に捨てていいんだったら、選挙なんかする必要ないじゃない?
●中国式民主主義の方がよっぽどいいよ。
選挙のたびに方針を変える必要がないから、国家戦略を貫くことができて、結局、新産業技術においても西側式民主主義国家を超えている。
●日本みたいに自民党政権がずーっと継続している国って、ほんとに「西側式民主主義国家」なんだろうか?アメリカはまだ二大政党が常に拮抗して争っているけど、それでも選挙のために国力を使い果たして、どんどん衰退していってる側面があるじゃない?日本はほぼ自民党による一党支配だから、もっと成長していいはずなのに、結局「自分が当選したい!」という欲望に駆られた議員ばかりだから、当選するための裏金問題とか内部の派閥争いで腐っていって、経済も新産業技術も立ち遅れていくばかりだよね。
●そんな日本がアジアをリードして「軍事同盟」を作って中国やロシアや北朝鮮を包囲していくって、なに考えてるの?バカじゃない?
●いや、だからさ、石破は総理になって、初めて少しだけ「現実」を知り始めたんだよ。
初めて現在進行形の国際情勢が見えたんじゃないの?だから李強との会談で、「田中角栄の日中共同声明の立場を堅持する」って誓ったんじゃないの?
●そんなに「揺れ動いてばかりいて」、それで一国の総理が務まるのかな?
●そうだね。
でも、石破を選んだのは現場にいたはずの政権与党の自民党だろ?「現実」を知っていたはずじゃないの?西側式民主主義って何?
・・・・・・
以上、中国のネットから適宜、興味深いものを選んでみた。
表現は、無数にある書き込みや民間ウェブサイトの主張などを、平均的にまとめたものである。
この論考はYahoo!ニュース エキスパート(※4)より転載しました。
就任会見の時の石破首相(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)
(※1)https://grici.or.jp/
(※2)https://www.youtube.com/watch?v=SfJcXh0qm3o
(※3)https://news.qq.com/rain/a/20241011A018LH00
(※4)https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/dd6c42371c1e358a5988a60d48fd11e8508a1202
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中国共産党機関紙「人民日報」の姉妹版「環球時報」や青年版「中国青年報」が一斉に「アジア版NATO」に対するASEAN諸国の反応を報道した。
石破・李強会談を経て、自信を強めたという勢いが読み取れる。
二紙の考察と中国ネット民の雑感を紹介する。
◆環球時報社評:「アジア版NATO」がASEANで壁にぶつかった事実は何を物語るのか?
10月12日、環球時報は(※3)という見出しで、おおむね以下のような内容の報道をした。
●石破茂首相は日本政界の「古き顔(老面孔)」としてASEANで外交デビューした。
しかし彼が到着する前に、インドネシアのジャカルタ・ポストから「アジア版NATO」に対する単刀直入の警告を受けた。
●ジャカルタ・ポスト紙によると、中国、米国、EU、日本はASEANの貿易相手国であるものの、2020年以降、ASEANの最大貿易相手国は中国であり続けている。
ASEAN諸国にとって、日本やその同盟国が「ASEANはインド太平洋地域の中心だ」と主張して「密かにASEANをまとめて中国に立ち向かわえようとしているもくろみ」は、まったく非現実的であり、到底受け入れられるべきものではない。
ASEANは、日本が地域の緊張を悪化させるだけの「軍事同盟国」ではなく、信頼できる貿易・経済パートナーになることを望んでいる。
●日本の経済力が衰退し、ASEANの力が大きくなる中で、石破茂は今でもまだ「日本はASEAN諸国のリーダーを引きつけるほどの影響力を持っている」という幻想を抱いているのだろうか。
日本政界の「古き顔」は、世界情勢の事実認識に関しても「古き視点」しか持ってないのかもしれない。
(以上、中国青年報から抜粋)
◆中国ネット民:石破茂は総理になって初めて世界の現実を知ったのではないか?
中国のネットでは「日媒称」(日本メディアによれば)とか 「美媒称」(アメリカメディアによれば)という書き出しで、実に多くの情報が即時的に中国語に訳されて報道されている。
中国のネット民はそれらを熱心に読んでいる者が多いので、実に当意即妙を得た反応が数多く見られる。
それらを列挙するのは至難の業だが、「中国青年報」で取り扱っているようなテーマに関する書き込みを拾い上げると、たとえば以下のようなものがある。
●石破茂は自民党で長い間「干されていた」ので、現在進行形の世界情勢を認識する力がないんじゃないの?
●日本の政治評論家が石破内閣を「在庫一掃内閣」と評していたけど、あれって、おもしろいよね。
今まで主流派から外されていた人たちをかき集めたんだろ?
●石破茂は「防衛問題オタク」って言われているようだけど、家の中で組み立てたプラモデルで構築した「アジア版NATO」は、机上の空論だったってことが、総理になって初めて分かったんじゃいの?
●そうじゃないと、自民党総裁選の選挙運動の時にあれだけ主張しておきながら、総理になったとたんに引っ込めるって、おかしいだろ?
●西側式の民主主義って、ほんとにいいのかね?選挙公約は当選した瞬間に捨てていいんだったら、選挙なんかする必要ないじゃない?
●中国式民主主義の方がよっぽどいいよ。
選挙のたびに方針を変える必要がないから、国家戦略を貫くことができて、結局、新産業技術においても西側式民主主義国家を超えている。
●日本みたいに自民党政権がずーっと継続している国って、ほんとに「西側式民主主義国家」なんだろうか?アメリカはまだ二大政党が常に拮抗して争っているけど、それでも選挙のために国力を使い果たして、どんどん衰退していってる側面があるじゃない?日本はほぼ自民党による一党支配だから、もっと成長していいはずなのに、結局「自分が当選したい!」という欲望に駆られた議員ばかりだから、当選するための裏金問題とか内部の派閥争いで腐っていって、経済も新産業技術も立ち遅れていくばかりだよね。
●そんな日本がアジアをリードして「軍事同盟」を作って中国やロシアや北朝鮮を包囲していくって、なに考えてるの?バカじゃない?
●いや、だからさ、石破は総理になって、初めて少しだけ「現実」を知り始めたんだよ。
初めて現在進行形の国際情勢が見えたんじゃないの?だから李強との会談で、「田中角栄の日中共同声明の立場を堅持する」って誓ったんじゃないの?
●そんなに「揺れ動いてばかりいて」、それで一国の総理が務まるのかな?
●そうだね。
でも、石破を選んだのは現場にいたはずの政権与党の自民党だろ?「現実」を知っていたはずじゃないの?西側式民主主義って何?
・・・・・・
以上、中国のネットから適宜、興味深いものを選んでみた。
表現は、無数にある書き込みや民間ウェブサイトの主張などを、平均的にまとめたものである。
この論考はYahoo!ニュース エキスパート(※4)より転載しました。
就任会見の時の石破首相(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)
(※1)https://grici.or.jp/
(※2)https://www.youtube.com/watch?v=SfJcXh0qm3o
(※3)https://news.qq.com/rain/a/20241011A018LH00
(※4)https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/dd6c42371c1e358a5988a60d48fd11e8508a1202
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