■会社概要
(3)特色と強み
以上のようにVTホールディングス (T:7593)の主力事業は新車を中心とした自動車関連事業であるが、新車部門は、新車の発売時期や仕入価格などがメーカー主導であるため、ディーラー間で差がつきにくい事業である。
このような環境下で、同社の特色や強みは以下のような点にある。
○質の高いサービス提供と徹底した効率化による高収益力 新車の場合、仕入価格は全国ほとんど同一であるため一般的に各ディーラーの利益(粗利)は限定されてしまうが、同社では顧客一人ひとりのニーズやライフスタイルに合わせた提案に努め、各種付属品やサービス品を付けて販売することで収益力を高めている。
同社のもう1つの特色は、サービス部門で徹底した効率化を行っていること。
サービス部門では、板金工場での人員配置やシフトに工夫を凝らして極力無駄を排除している。
また新車販売で引き取った中古車は即座にオークションで販売し、集積場での無駄な人件費を節約している。
このような細かい効率化の積み重ねが高い収益力を生んでいる。
同社の収益力は同業他社と比較しても際立っている。
例えば、全国の日産系ディーラーの中で、営業利益率の上位4社は同社の子会社(長野日産自動車、静岡日産自動車、日産サティオ埼玉、三河日産自動車)である。
○安定した収益基盤 同社のもう1つの特色であり強みは「事業が分散」されていること。
例えば、新車部門を見ると日産系の売上比率が高いが、ホンダ系や外資系などもあり、特定のメーカーの動向に大きく左右されることが少ない。
さらに、事業自体が新車、中古車(新車とはまったく異なる市場)、サービス、レンタカーと分散されており、新車市場における人気車種の動向によって業績が大きく左右されることが少ない。
つまり、新車販売に対する依存度が高い同業他社に比べて、業績のブレが少ないのだ。
このため同社の収益基盤は他社に比べて安定していると言えるが、これを示す指標として同社では「基盤収益カバー率」を注視している。
これは、新車以外の粗利益を販売管理費で割ったもので、新車以外の部門の利益で販売管理費をどの程度カバーできるかを表す指標。
言い換えれば、メーカー次第となる新型車の発売サイクルなど、外部要因に左右されやすい新車部門以外でコストを賄える「新車が売れなくても赤字にならない企業体質」を表す指標と言える。
同社の場合、主要子会社6社の平均基盤収益カバー率(2016年3月期)は107.3%となっており、強固な収益基盤を確立していると言えよう。
この事実が、後述する積極的なM&Aなどによる拡大戦略を可能にしており、この点も同社の強みと言えるだろう。
○高い成長率と積極的な経営戦略 前述のように同社は上場以来売上高で20倍、経常利益で33倍の成長を遂げてきたが、これを可能にしたのが積極的な経営戦略で、その中心はM&Aと前述したとおりの徹底した効率化だ。
上場直後からM&Aを積極的に行ってきたが、何でもかんでも闇雲に行ってきたわけではない。
同業あるいは関連業種の企業の中で、経営方針や財務戦略の誤りなどによって本来持っている企業価値より大幅に下がった企業を買収し、これを再生することで付加価値を高めてきた。
積極的にM&Aを活用している点は当業界においても同社ならではの特徴と言える。
また、M&Aについての同社の意思決定の早さも特筆すべきものがある。
ただし、重要なのは買収した企業を仕組みから変革し、収益改善するノウハウが同社の最大の強みだという点である。
例えば2012年4月に子会社化した日産サティオ埼玉を半年足らずで日産系トップディーラーに押し上げた実績もその強みを明確に示している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
このような環境下で、同社の特色や強みは以下のような点にある。
○質の高いサービス提供と徹底した効率化による高収益力 新車の場合、仕入価格は全国ほとんど同一であるため一般的に各ディーラーの利益(粗利)は限定されてしまうが、同社では顧客一人ひとりのニーズやライフスタイルに合わせた提案に努め、各種付属品やサービス品を付けて販売することで収益力を高めている。
同社のもう1つの特色は、サービス部門で徹底した効率化を行っていること。
サービス部門では、板金工場での人員配置やシフトに工夫を凝らして極力無駄を排除している。
また新車販売で引き取った中古車は即座にオークションで販売し、集積場での無駄な人件費を節約している。
このような細かい効率化の積み重ねが高い収益力を生んでいる。
同社の収益力は同業他社と比較しても際立っている。
例えば、全国の日産系ディーラーの中で、営業利益率の上位4社は同社の子会社(長野日産自動車、静岡日産自動車、日産サティオ埼玉、三河日産自動車)である。
○安定した収益基盤 同社のもう1つの特色であり強みは「事業が分散」されていること。
例えば、新車部門を見ると日産系の売上比率が高いが、ホンダ系や外資系などもあり、特定のメーカーの動向に大きく左右されることが少ない。
さらに、事業自体が新車、中古車(新車とはまったく異なる市場)、サービス、レンタカーと分散されており、新車市場における人気車種の動向によって業績が大きく左右されることが少ない。
つまり、新車販売に対する依存度が高い同業他社に比べて、業績のブレが少ないのだ。
このため同社の収益基盤は他社に比べて安定していると言えるが、これを示す指標として同社では「基盤収益カバー率」を注視している。
これは、新車以外の粗利益を販売管理費で割ったもので、新車以外の部門の利益で販売管理費をどの程度カバーできるかを表す指標。
言い換えれば、メーカー次第となる新型車の発売サイクルなど、外部要因に左右されやすい新車部門以外でコストを賄える「新車が売れなくても赤字にならない企業体質」を表す指標と言える。
同社の場合、主要子会社6社の平均基盤収益カバー率(2016年3月期)は107.3%となっており、強固な収益基盤を確立していると言えよう。
この事実が、後述する積極的なM&Aなどによる拡大戦略を可能にしており、この点も同社の強みと言えるだろう。
○高い成長率と積極的な経営戦略 前述のように同社は上場以来売上高で20倍、経常利益で33倍の成長を遂げてきたが、これを可能にしたのが積極的な経営戦略で、その中心はM&Aと前述したとおりの徹底した効率化だ。
上場直後からM&Aを積極的に行ってきたが、何でもかんでも闇雲に行ってきたわけではない。
同業あるいは関連業種の企業の中で、経営方針や財務戦略の誤りなどによって本来持っている企業価値より大幅に下がった企業を買収し、これを再生することで付加価値を高めてきた。
積極的にM&Aを活用している点は当業界においても同社ならではの特徴と言える。
また、M&Aについての同社の意思決定の早さも特筆すべきものがある。
ただし、重要なのは買収した企業を仕組みから変革し、収益改善するノウハウが同社の最大の強みだという点である。
例えば2012年4月に子会社化した日産サティオ埼玉を半年足らずで日産系トップディーラーに押し上げた実績もその強みを明確に示している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)