Toby Sterling
[アムステルダム 25日 ロイター] - 「欧州は2030年までに世界の半導体市場でシェアを20%に拡大するという目標は達成できない。なぜなら十分なスピードで生産能力が構築されていないからだ」──。オランダの半導体製造装置大手ASMLのピーター・ウェニンク最高経営責任者(CEO)は24日の四半期決算発表後のインタビューで、こうした見方を示した。
欧州連合(EU)欧州委員会が、コロナ禍に伴って自動車向け半導体不足が生じた局面で設定したこの目標についてウェニンク氏は「完全に非現実的だ」と断言。欧州の市場シェアは8%が関の山で、「20%到達を望むなら、まずここでどれだけの(製造設備を)建設する必要があるのか計算しなければならない」と苦言を呈した。
EUは昨年、官民合同による430億ユーロの投資と助成金を通じて半導体生産の世界シェア20%達成を目指すための半導体法を成立させている。
ただ今のところ主要半導体メーカーのうち、この仕組みを利用して年内に欧州で工場の起工を表明したのは、台湾積体電路製造(TSMC)のみ。同社のプロジェクトによると、ドイツのドレスデンに100億ユーロを投じて工場を建設する。欧州の半導体メーカー、ロバート・ボッシュとインフィニオン、NXPの各社がプロジェクトの10%の権益を保有する見込みだ。
ウェニンク氏は「これは欧州の自動車産業にとっては朗報だが、十分ではない。特に電気自動車(EV)への移行を必要としている局面ではなおさらだ」と述べた。
またウェニンク氏は、中国が半導体製造能力増強に向けて過剰な投資をしているとの懸念は間違いだとの考えも示した。