英ポンド/円相場は、4月4日の152.66円をボトムに、足元では152円台後半まで値位置を切り上げている。150円台回復は2010年1月以来のことである。ポンドサイドには特に目立った材料などは見当たらず、対他通貨と同様に日本銀行の強力な金融緩和を受けての円売り主導の相場展開になっている。
4月4日にはイングランド銀行(英中央銀行)金融政策委員会(MPC)が開催されたが、特に目立った動きは報告されていない。資産買い入れプログラムの規模は3,750億ポンドで据え置きとなっており、サプライズはない。ただ、オズボーン財務相がイングランド銀行の権限を見直す方針を示したことで政策の柔軟性が増していることや、英経済指標が景気の減速リスクを強く示していることなどを考慮すると、追加緩和の方向性には変化がないだろう。17日に発表される議事録で、資産購入枠の拡大を支持している委員が増えているか、5月のインフレレポート発表、7月のカーニー新総裁着任などが、追加政策対応のきっ脚気になる可能性が高い。
もっとも、日銀の強力な金融緩和策と比較すれば、日英の金融政策環境かがポンド安・円高が進むリスクは限定されている。日銀がベースマネーを今後2年で2倍とする方針を打ち出す中、円の上昇余地は限定されている。黒田日銀総裁はメディア各社の取材に対して、「現時点では必要にして十分な措置を取った」と指摘しており、特に追加の政策対応は予定されていない。ただ、既存の緩和政策を着実に履行していき、その修正が少なくとも短期では行われないとのメッセージが発せされている以上、円安基調に修正を迫るのは難しい。
今後1週間の予想レンジは、150.00~155.25円。