多くの巨大グローバル企業が決算を発表する今週は、市場の今後を左右する週と言っても過言ではない。100社以上のS&P 500企業が決算発表を予定しているが、市場はリスクオンの流れであり、株価上昇は続くと見ている動きが強い。
今週の決算発表で、アメリカ経済の成長は底堅く、昨年12月の株価下落を引き起こした経済成長減速の恐れは過剰なものであったということが証明されると期待される。この1週間で様々な動きが予想されるが、ヘッドラインリスクが過ぎ去るまでアクションを起こさないというのは、合理的な投資判断を下すために良い戦略だ。決算シーズンが盛り上がりを見せる中、以下の3つが注目銘柄だ。
1. P&G
生活必需品メーカー大手のP&G(NYSE:PG)は、2019年4月23日の寄付前に第3四半期決算を発表する。市場予測では、予想EPSが1.03ドルで前年同期の1.0ドルより増加。予想売上高も前年同期比で増加し、163億4000万ドルに達すると見られる。
P&G株は終値106.05ドルで先週を終え、成熟した銘柄で激しい値動きを見せることはあまりないものの、上昇相場に連動した値動きを見せた。同社株は年初来16%高であり、過去1年間ではS&P 500 インデックスが7%高に留まっている中、40%高となっている。
同社の再建計画が効果を表し始め、収益成長が期待できるとの見込みが高まっていることが同社株押上げの原因となっている。10月から12月の第2四半期において同社は、M&Aや為替差損益等の項目を取り除いた既存事業売上高を大きく伸ばし、4%の成長率となった。これは市場予測の2.7%上回る数値であった。
P&Gのシェアを徐々に奪い始めてきた強力な競合に対抗すべく、同社は重大製品セグメントとして10種類の製品に集中し、利益創出を目指している。このような急激な株価の上昇後では、同社が少しでも期待に応えられない場合に株価下落が引き起こることが考えられる。しかし年間利回り3%以上という魅力的な四半期配当も持つ同社は、依然として強い買い持ち推奨対象である。
2. マイクロソフト
マイクロソフト(NASDAQ:MSFT)は4月24日の引け後に2019年度第3四半期決算を発表する。市場予測では、予想EPSが昨年の0.95ドルから上昇して1ドルになると見られている。予想売上高は11%増の298億4000万ドルと見られている。
過去の動きから決算を予想するならば、同社のクラウドコンピューティングへの展開に代表されるテクノロジーへの積極的な投資や同社主要Office製品の堅調な売上により、成長の勢いが大きく加速していることが見られるはずだ。18日に史上最高値の123.52ドルを記録した同社は先週の取引を123.37ドルで終え、投資家の同社CEOサティア・ナデラ氏が描いた成長戦略への賭けは、大きく実を結ぶ形となった。
Azureのクラウドサービスによる売上が、2017年の各四半期と2018年の前半で毎回倍増していた中で、更に76%成長したことを報告した第2四半期から同社の強さは目に見えていた。この重要セグメントの成長が減速した場合、同社の株価上昇は期待できない。しかし、3月の決算は法人ビジネスとクラウドビジネスの利益率改善により堅調な成長を見せるとの考えを示している。
3. エクソンモービル
アメリカ最大の石油会社であるエクソンモービル(NYSE:XOM)は4月26日の寄付前に第1四半期決算を発表する予定であるが市場予測では期待されていない。予想EPSが昨年の1.09ドルから下落し、0.74ドルになると見られ、予想売上高も、昨年から6%安の642億6000万ドルになると見られているからだ。
石油及びガスの大手であるエクソンは、OPECと同盟国による減産を受け1バレル70ドルを超える原油価格となった前四半期の後、また株価を上昇させる可能性がある。数四半期で減少が続いた同社の生産水準が、同社の指標として市場で注目されている。
第4四半期では、エクソンは業績改善を発表し市場を驚かせた。この改善が長期的に続いていくのかというのが注目ポイントだ。現在81.13ドルで取引される同社株は年初来19%高となっており、米国の同業他社であるシェブロン (NYSE:CVX)より遥かに高いパフォーマンスを見せている。キャッシュフローの改善と生産高の成長があればより株価上昇は大きいものとなるだろう。