7日の海外外為市場では、対ドルでのユーロの軟調地合いが継続した。12月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値は原油安の影響を受け前年同月比で-0.2%と、市場予想(-0.1%)を下回った。マイナスとなるのは2009年10月以来。コア指数が前年比+0.7%となったことで独国債は反落(金利は上昇)したものの、外為市場では域内経済がデフレに陥る可能性が一段と高まったこと、それに伴い欧州中央銀行(ECB)が今月にも緩和強化に踏み切るとの観測が強まったことで、ユーロ売り圧力が強まった。ユーロドルは安値1.1802レベルまでユーロ安(ドル高)が進行した。
一方、ECBによる緩和強化は原油価格反発とともに欧州株式をサポート。12月の米ADP雇用統計が市場予想を上回ったことを受け米国株式も反発したため、ユーロ円では株高がユーロ売り圧力を相殺する展開となった。しかし、日足の一目/雲の下限でレジストされた事実を考えるならば、株式動向次第では節目の140.00をトライする展開となろう。
昨日の動向で注視すべきは、欧米株式市場とドルインデックスが同時に上昇したことだろう。原油価格反発の影響もあるだろうが、これら値動きの根底にあるのは欧米の金融政策動向だろう。昨日公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録によれば、イエレンFRBによる早期利上げの可能性は後退。且つドラギECBによる1月緩和強化が現実味を帯びてきた事実は、今後も欧米株式市場にとってポジティブ要因となろう。また、米早期利上げの可能性が後退したとはいえ、今後米欧の金融政策のコントラスト(方向性の違い)が鮮明なることは確実な情勢となっており、ドルインデックスは92.0台の到達に成功。ユーロドルは次の重要サポートポイント1.1640レベルを視野に下落し続ける公算が大きいだろう。今月5日のレポートで、2015年前半の重要テーマは欧米の金融政策にあると指摘したが、欧米株式市場とドルインデックスはまさにこの点を示唆している。
<テクニカル分析-ドル円、118円割れリスクは消えず>
レジスタンス
120.00:レジスタンスポイント
119.65:1月7日高値
サポート
118.63:基準線
118.05:1月6日安値
117.93:リトレースメント23.60%
118.60前後で推移する日足の一目/基準線(赤ライン)にサポートされる状況が継続している。ただ、21日MA(緑ライン)を完全に突破し切れていない状況を鑑みるに、118円割れリスクを常に警戒すべきだろう。上値/下値のポイントは上記の通り。
尚、直近のオーダー状況だが119.80レベルにはオファーが観測されている。118.50、118.00そして117.50レベルにはビッドが観測されている。