米ドルの総合的なトレンドを示すドルインデックスは、約6年ぶりの高値圏へと上昇。そのドルインデックスとの相関性が強まっているドル円も2007年7月以来となる121円台の到達に成功した。今週もこのドル高トレンドが継続するかどうか、その鍵を握るのは米金利の動向となろう。
先週発表された米重要経済指標は総じてファンダメンタルズ改善を示す内容が続いたが、中でも注目すべきは、やはり雇用統計の内容だった。非農業部門の雇用者数は32.1万人と2012年1月以来約3年ぶりの高水準となった(前月:20.9万人→23.6万人に上方修正)。また、失業率が3ヵ月連続の6.0%割れとなれば、市場が注目していた時間当たり賃金も0.09ドル増と、昨年6月以来の大幅な伸びを記録した。ただ、後者に関しては前年比で+2.1%と未だ緩慢な伸びにとどまっており、米早期利上げ観測を急速に台頭させるには未だ力不足といったところか。
だが、今週後半に発表される小売売上高(11月)をはじめとした各重要経済指標が引き続き市場予想を上回るならば、労働市場における持続的な改善とそれに伴う賃金インフレへの期待が強まろう。そのような期待が強まれば、低空飛行が続いてきた米金利は来年6月前後の利上げを意識し、徐々に上昇する可能性が高いだろう。結果、現在のドル高トレンドが維持する可能性も高まろう。
ECB理事会では量的緩和の導入を先送りしたものの、ドラギ総裁の発言内容を鑑みるに来年1月or3月の理事会での導入はほぼ決定的だろう。通常ならば、最新の経済見通しが発表される3月の理事会で導入を決定する可能性が高い。しかし、2011年12月及び2012年2月に実施した長期流動性オペ(LTRO)の返済期限が2015年1月29日と2月26日に予定されていることを考えるならば、バランスシートの拡大を維持するために1月の理事会でドラギECBが動く可能性も否定できない。どちらにしても、日欧が米FEDに代わり新たな緩和マネーの供給源としての役割を果たすことになるならば、米国をはじめとしたグローバル株式市場は米金融引き締めショックによる混乱を回避できよう。また、円売り要因として今週は選挙戦の報道にも注目したい。自民党優勢の報道内容が続くならば、アベノミクス継続への期待感を背景に株高維持の公算が強まろう。
「株高維持+米金利上昇」の展開となった場合の焦点は、やはりドル円の動向だろう。具体的には2007年の大天井124円台に向け上昇スピードが加速するかが注目される。
< Today’s Outlook -株式&米金利にらみ>
アジア時間の円相場は株式にらみの展開となろう。米ファンダメンタルズの持続的な改善と堅調な欧米株式の動向を背景に国内株式でも高値圏での攻防が続けば、円安優勢の展開が想定される。
海外時間は、上述の通り米金利の動向に注目したい。株高に加え、先週の堅調な米経済指標の結果を背景に米金利も緩やかな上昇トレンドを維持すれば、ドル円がけん引役となり、円相場全体で円安トレンドが加速しよう。
尚、経済指標では7-9月期の日本実質国内総生産(GDP、改定値)と11月の中国貿易収支に注目したい。
みなさん、よい一日を!