今週の水曜に資源エネルギー庁が発表した国内ガソリン店頭小売価格は、全国平均でリッターあたり169.2円だった。発表によると4週連続値下がりなのだが、下げ幅は極めて小さく4週間で1円未満しか下げていない。
ではガソリン価格を決める大きな要因となる、海外の原油価格はどう推移しているのか?NY市場の原油価格を見ると、6月中旬に1バレル=107ドル付近でピークをつけてから、その後はずっと下げ続けている。特に昨日の14日はNY市場で原油の下げが目立ち、2ドルも下げて1月以来7ヶ月ぶりの95ドル台をつけた。
このように、原油価格は6月中旬の水準から10%以上も下げているのだ。それなら、単純に計算すると国内のガソリン価格はピークの約170円から10%くらい下がってもおかしくはない(あくまで単純計算)。しかし実際には10%どころか、1%(1.7円)も下がっていない。
ちなみに国内ガソリン価格は為替レートにも大きく影響される。海外の原油価格が下がっても、為替レートが円安になると国内ガソリン価格は下がらない。しかし6月中旬と現在の為替レートを比較しても、それほど違いがあるわけではない。6月中旬の円ドルレートを見ると1ドル=102円程度だったが、8月15日現在でもほぼ同じ水準だ。
国内のガソリン価格がなかなか下がらないのは、海外の原油価格の動きが国内ガソリン価格に反映されるまでの数週間のラグのためでもある。海外の原油価格が6月中旬にピークだったら、国内のガソリン価格はその数週間後にピークをつけてもおかしくはない。
それにしても、ピークから4週間で下落が1円未満というのは少ない。このように国内のガソリン価格がなかなか下がらないのは、構造的な要因もある。近年国内ではガソリン価格の高騰で自動車に乗らない人が増え、かつハイブリッド車などが普及してきたためにガソリン全体の需要が低下し、廃業するガソリンスタンドが増えている。スタンドの廃業は競争を減らし、値下げをするモチベーションがなくなってきている。
ただここ1~2週間で海外の原油価格がさらに下がっているのは確かだ。ガソリン需要が高いお盆はもう終わりつつあるが、今後数週間で国内のガソリン価格の下げに期待したい。