18日海外時間の外為市場はドルロング調整地合いとなった。この日発表された11月の独ZEW景気予測指数が市場予想以上に改善したことを受けユーロドルが上昇した。また、米株高が継続する一方、その株高に追随出来ない米金利の状況、つまり「株高オンリー」のリスク選好もドル売りの一因となった。しかし、下落幅は限定的。ファンダメンタルズの改善とイエレンFRBによる金融引き締め観測を背景に、中長期スパンでのドル高トレンドは今後も続く可能性が高いだろう。
一方、円相場は、安倍晋三首相の会見を受け上下に振れる場面は見られたものの、欧米株式に加え新興国株式も堅調に推移したことでNY時間では再び円売り圧力が強まった。ドル円は117円台に到達する局面が見られた。ユーロ円も2008年10月以来となる146.70レベルまで上昇した。
安倍晋三首相が消費再増税の先送りと21日の衆院解散を表明した後の円相場は、上下に振れる展開となった。しかし、ドル円は117円台を目指す展開は変わらず。ユーロ円に至っては上述の通り。豪ドル円も102円台へ到達すれば、早期利上げ観測が後退している英ポンドも昨日のNY時間では対円で再び円売り優勢の展開となった(対ドル&ユーロではポンド売り優勢)。昨日の値動きが示唆するのは、円相場のトレンドは結局のところ海外の経済動向次第ということだ。株式、特にリスク選好の先導役である米国株式が崩れない限り、円安トレンド継続の見通しに変化はない。
< Today’s Outlook -米イベント(経済指標/FOMC議事録)にらみ>
解散が決まったことで、今後政局絡みの論点は世論の支持率となろう。各社が報道する与野党の支持率動向が国内株式動向の変動要因となろう。与党の支持率が日を追うごとに低下傾向を辿り選挙前に過半数割れが確実な情勢となれば、筆者が考える「国内政局=株高・円安」シナリオは脆くも崩れよう。ただ、低迷している野党の支持率や準備不足(野党再編、野党間の候補者調整の遅れ)が露呈している現状を考えるならば、与党過半数割れはベースシナリオではない。円安トレンドの継続やグローバル株式市場が堅調に推移している状況も鑑みるならば、本日以降の国内株式は17000円台を挟み堅調に推移する可能性があろう。
本日アジア時間の焦点は、日銀金融政策決定会合後の黒田総裁の会見だろう。国内政局に対する批判的な言動が見られれば、政府・日銀間の「足並みの乱れ」を背景に一時的に円を買い戻す動きが散見される可能性がある。ただ、そのような展開となっても米国株式が崩れない限り円買いは一時的だろう。
米株高維持の鍵を握るのは経済指標となろう。日本時間22時30分に米住宅関連指標が発表される。総じて市場予想を上回れば、米株は高値圏での攻防を維持しよう。また、翌4時に公表される米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録(10月28-29日開催分)の内容にも注目したい。早期利上げの可能性を示唆する内容となればタカ派寄りと捉えられ、米金利の反発とドル高を誘発しよう。資源国通貨や新興国通貨は対ドルで売り優勢となろう。堅調な米経済指標とタカ派バイアスのFOMC議事録が合わされば、ドル円は117円台の攻防へとシフトする可能性が高まろう。