14日のグローバル市場でもリスク回避トレンドは継続した。12月の米小売売上高は前月比-0.9と、昨年1月以来となる大幅な落ち込みとなった。横ばいが見込まれたコア指数も同-1.0%となったことで、米経済に対する先行き不透明感が台頭し、米株は4日続落。欧州中央銀行(ECB)による緩和強化期待が根強い欧州株式も総じて1%以上下落した。
株式市場とは対照的に、安全資産への投資妙味が増したことで債券買いが加速。米債券市場では各ゾーンの利回りが低下した。一方、欧州債券市場ではリスク回避に加え、ECBの債券購入プログラムに関する欧州司法裁判所の肯定的な見解も材料視され、利回りは総じて低下(価格は上昇)。独10年債利回りはこれまでの最低となる0.423%まで下げる局面が見られた他、英30年債の利回りが過去最低水準を更新した。
外為市場ではドル売りの展開に。筆者は、リスク回避トレンドが鮮明となった場合、対新興国通貨でのドル上昇を想定していた。しかし、予想外に下振れた小売売上高の内容を受けドルロングを調整する動きが全体的に勝った。一方、円相場は「往って来い」の展開となった。リスク回避局面においては、もはやパターン化している円買いによりドル円はNYタイム序盤に116.07レベルまで下落した。しかし、その後は原油相場の反発と米株の下落幅縮小を受け円売り優勢の展開に。ただ、リスク回避ムードの中では戻りは弱く、ドル円は117.30前後、ユーロ円は138.20前後で推移したまま本日の東京時間を迎えようとしている。
昨日の動向で意外だったのが、NYタイムの円売りを誘発する要因となった原油相場の反発だった。だが、ボトムが近づいているシグナルと受け止めるのは早計だろう。「米国よ、お前もか」と強気派が言いたくなる程、昨日の小売売上高は現在唯一の頼みの綱である米経済に対する先行き不透明感を強めるには十分だった。さらに、昨年夏以降、銅価格(LME3ヵ月物)は下落トレンドを辿り続けている。銅価格は昨日、2009年7月以来の水準(5353.25ドル)まで低下する局面があったが、「産業の血管」と言われる銅価格の急落は、原油相場同様世界経済の減速を示唆している。故に過剰供給懸念が払しょくし切れていない原油価格はもうしばらく下値を模索し続ける可能性が高いだろう。よって、円相場ももう一段下値トライを想定したい。
< テクニカル分析-ドル円、重要サポートポイントリトレースメント38.20%>
レジスタンス
118.74:10日MA(赤ライン)
118.50:オファー
117.95:10日MA(緑ライン)
117.92:1月14日高値
サポート
116.07:1月14日安値
116.00:厚いビッド&オプションバリア
115.50:リトレースメント38.20% (重要サポートポイント)、厚いビッド&オプションバリア
昨日は下影陰線が示現。通常ならば転換シグナルとして捉えたいところだが、1月中のリスク選好回帰の可能性が低いことを鑑みるに、重要サポートポイント115.50トライの方を常に警戒すべきだろう。
上値は5日MA(緑ライン)の攻防に注視したい。
尚、直近のオーダー状況だが117.50、118.00そして118.50にはオファーが観測されている。116.00&115.50には厚いビッドとオプションバリアが観測されている。また、これら水準下ではストップが置かれている。