来週に金融市場の最も大きな波乱要因となるのは、政策金利の発表でも経済指標でもなく、スコットランドの独立投票だろう。スコットランドでは18日にイギリスから独立するか否かを問う住民投票が行われる。ここで独立賛成が過半数となったら、一気に独立に向かうことになるだろう。
この問題がイギリス国内だけの問題に留まらない理由は、ヨーロッパは他の国でも独立を希望する地方がいくつか存在しているからだ。スコットランドが独立に成功すれば、それらの地方における独立運動が一気に勢いづき、ヨーロッパ全体が混乱に陥る可能性がある。
他国の独立を希望する地方とは、例えばスペインのバスク地方やカタルーニャ地方がある。カタルーニャでは以前から独立運動がくすぶっていたが、最近になってそれがさらに高まっている。その理由の1つに、リーマンショック以降ヨーロッパが経済的に苦しくなっている点がある。カタルーニャ地方にはスペイン第2の都市・バルセロナがあるので、独立しても自分たちだけでやっていけると考える者が多い。
カタルーニャ地方では11日に50万人も参加した独立への住民投票要求デモが起こった。カタルーニャの地元政府は11月9日に住民投票を行う予定だが、これはスペイン政府によって「違法」認定されたもので公式ではない。そしてスペイン政府は、投票の実行をあらゆる手段で阻止すると宣言している。
ともかくスコットランドが独立すると、イギリスはその国土とGDPの一部を失い、これまでにないほどの混乱や衰退に見舞われることになりかねない。だから今週、キャメロン首相が自らスコットランドに出向いて、スコットランドの人々にイギリスに残留してくれるよう頼み込んでいた。
しかしだからといって来週の投票が中止になるわけではない。ヨーロッパにとっての運命の瞬間が少しずつ近づいてきている。