今回、インベスティングドットコム日本版では投資家の方々へインタビューを実施。その第一弾として、証券会社でディーラーとして50億儲けた「たけぞう氏(@noatake1127)」にインタビューを行う事ができた。投資セミナーなどで登壇するなど、Twitterでの投資家業界を指す「株式クラスタ」の中でも知名度を誇るたけぞう氏の投資家としての人物像や、その投資手法に迫った。
●たけぞう氏がマーケットの世界に入り、ディーラーになったきっかけ
―たけぞうさんがマーケットに携わるきっかけになった証券会社の入社の経緯を教えて下さい。
昭和63年の入社だったのですが、同じ山口県出身の先輩が東京で場立ちの仕事をしていて、その先輩から証券業界が活況で、「場立ちの仕事が忙しい」と言うので、興味持ったことがきっかけです。僕が入った時は250銘柄だったんですけど、トヨタさんとか、新日鉄さんとか結構大きい銘柄がありました。委託注文で、それが一枚一枚伝票として出てくるものを捌いていました。手サインを使ったりもしましたね。
―場立ちって屈強な方が多かったという話を聞きましたが、本当ですか?
その当時、大手を中心に社会人スポーツをされている方とかを採用していたそうです。D社はバスケやバレー、N社はアメフトだったり。できるだけ早く注文を取ることを目的にそうしていたようです。
―たけぞうさんは場立ちを経てディーラーになったという事ですが、その経緯は
当時、各社みんながディーラーをできるわけじゃなくて、会社の中でも選ばれた数人しかディーラーはやっていなかったんですよ。場立ちの中でトップクラスの方だけがディーラーをされていたので、その人たちに憧れ、そこを目指しました。それがきっかけです。当時は営業が証券会社の花形、ナンバーワンという背景もあったので営業のポジションに勧誘されたりもしましたが、頑なに断り、ゴリ押しみたいな感じでディーラーになりました(笑)それが入社2年目、3年目の時、年齢でいうと20、21歳ぐらいの時ですね。
●ふとしたきっかけから、逃げ切れたITバブル
―ディーラーになってから、印象に残っている大相場のエピソードはありますか?
ITバブルが一番儲かったんですが、バブルで面白いのってそれを正当化する為に新しい説明の仕方、ものさしっていうのが出てくるんですよ。例えば、ウォーターフロント相場の時はQレシオなんてものがありましたけど、ITバブルの時も同じでPBRとかPERとかで考えず、何かそういうものを作ってきて指標にしていた。でも、光通信だとかそういった銘柄を取引しないと儲からない、僕らディーラーは毎日何か取引しないといけない。それでご飯食べているわけだから。その時はPBRとかPERとか関係無しに値動きを中心に取引をしていた。
―結局そのITバブルも弾けるわけですが、その際にはどういう対応を?
これはもう先輩に恵まれたとしか言いようがないんですが、当時先輩が見ていた日経ビジネスを見せてくれて、そこに光通信の売上に関する記事が出ていたんです。その記事を見て、そこから取引を辞めました。1、2週間後ぐらいにその記事が指摘するような事が本当に出てきて、そこから20日連続ストップ安ですかね。その間一切取引しなかった。その当時、契約ディーラーの制度が始まったばかりだったので、光通信のこのストップ安で辞めていった人を何人も見ました。
●政治と相場の関係、マネーの需給の観点も投資家には必要な目線
―トレーダーをされていると政治経済の転換で相場が変わる局面がありますよね。
直近は政治が安定していますが、この始まりは民主党政権から自民党安倍政権への転換で、強烈な上昇をしたというのはまさに政治と金融の関係できてますが、それをあまり知らない人が多くなってきている印象です。外国人が日本株を買ってこなかったという事実も、薄くなってきている感じですね。だから、僕は政治とか金融、そしてその関係を一番大事な観点にしている。政治が安定しているから安心して日本株を買いに来ているという面もあるのです。もし再来年に安倍さんが総理大臣を辞めたり、今年の参議院選挙で仮に負けたりして政治が不安定になってきたら、海外の投資家は売ってくる可能性はあるのではないでしょうか。セミナー等で登壇したりすると、その観点が欠けていたり、第二次安倍政権以降に株を始めた人が多くなってきている印象です。政治と相場の関係をしっかり考えて投資をする方よりもそうでない方の方が割合多くなってきていますね。
―政治的な変化、それが起きてしまったらアベノミクス以降からの市場参加者、投資家にとっては厳しくなるという事でしょうか。
昨年の年末、11月の相場は近いものがありました。あれは米国発でまさに政治的な変化が起きた事が原因での相場展開でしたが、今後それが日本発で起こるのか、起こった時にどうなるかという事です。それ以外にも、去年は政治要因だけでなく、そもそもアメリカが市場からちょっとずつお金を抜いているというか、今度は売ってきている状態で、そういうところでいえば需給関係というのはかなり大事。マネーを供給してるのか、引っ張り出しているのか、そういった理解も今後より必要かと思います。
―現在、これだけ大きい量的緩和をやっている事は歴史的にも初めての試みだとは思うのですが
僕は凄くこれを危惧しています。外国人は今年になってそういうレポート書いていますよね。日銀がどうなるか、日銀の損益分岐点とかね。日経平均の水準が15,000円とか、16,000円でETF買うなら私は納得するけど、今20,000円以上あるにもかかわらず、ちょっと前場が下落したからといっても700億打ち込むっていうのはあまりに官僚的のような。簿価が上がるだけでしょう?外国人から見たら、じゃあ後ここ1年間はずっとやらせとけばいい話。今年、来年と6兆円買っていれば、12兆円買うわけですよね。この時、簿価は上がるんですけど、その簿価より保有しているETFの水準が下がったらどうするのっていう話ですね。
―過去の外国勢の動きを見るとイングランド銀行の破綻、タイのバーツ暴落など仕掛けられましたが、日本にもそれは起こりうる?
どっかで仕掛けてはくるんじゃないでしょうかね。国債であれば満期があるから関係ないのですが、ETFに満期は無い。だから凄く怖いし、止めざるを得ない。仮に損益分岐点が17,000円だとするでしょ?これを割った時に国民へ「これだけ損させてるよ」ってもし言うとする。今国民の大半はETF買いをしている事は知らない。けれど、赤字が大きくなって、この前のGPIFのように簿価が下がってマイナスになったらマスコミは一斉に叩くでしょうね。
●5Gや公共事業に注目。米中貿易摩擦懸念はどう影響してくるか
―今年注目しているセクターや銘柄、テーマなどは
去年からずっと言っているんですけど、5Gとは言ってます。今後もこのテーマの注目は続くんじゃないでしょうか。今しぼんでますけど、今からだと思ってます。バイオも。ただバイオっていうのはどこまで信用していいのか自分で見極める必要があります。あとは今年参議院選挙があるので、公共事業も見てますね。補正予算等もそうですけど、増税も控えているので、政府が何か対策を打つとしたらインフラ関連かなと考えてます。ドローンとか含めて夏前にあるんじゃないでしょうか。
―今年のマーケットについてズバリどう見ていますか
去年の年末にかけて下落した要因の一つである盗聴問題、マザーボードやチップに関する話題が上がってましたが、昔COCOM問題がありましたけど、1980年代に共産国に輸出禁止の協定が結ばれましたよね。冷戦の当時の時代のように、今回中国や共産圏に焦点が広がるかどうかということが一つのポイントになるような気がします。証券会社の某レポートでも書いてあるようですが、ファーウェイだけの問題にとどまるようであれば、下値18,000円ぐらいに見てもいいと思います。それが半導体含めた中国にある工場など話が中国全体に広がれば、構造的な問題から下値14,000円ぐらいになる最悪なシナリオもありますが、ただそこまで広がりそうにない気がします。関税の問題も結局アメリカ側が赤字になっていますし、トランプって商売人ですから。ただ、ライトハイザーが政権内にいますよね。彼が昔日本の鉄鋼輸出に関税をかけたような同様な事を中国にやるとしたら余談を許さない。
後編ではたけぞう氏の投資手法や、株式投資をする上で大切な心構えなどを中心に予定。乞うご期待!
後編はこちら:50億儲けた伝説ディーラーたけぞう氏―「凄腕投資家も失敗から学んでいる」「見切りできる事が大切」【インタビュー後編】
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