2011年6月30日(木) 午後5時から約15分 (問) 就任にあたっての所感と、今後の抱負についてお聞かせ下さい。 (答) 本日、審議委員を拝命しました。いくつかの困難があり、大変難しい時代に、また先の大震災による非常に大きな被害と、これから早期に復旧・復興していかなければいけないという状況のもとで審議委員になったわけであり、考えれば考えるほど、その責任の重さを痛感しており、非常に緊張しているというのが偽らざるところです。 抱負というような大層なものはありませんが、私は長らく金融業務に携わってきました。36年間は民間銀行、その後5年間程子会社のリース会社にいました。この間、銀行としての内外での各種の戦略策定や金融市場での実際のオペレーションの管理、あるいは企業に対する貸付の実務、このようなものを経験してきました。リース会社では資産もそれなりにあり、資金調達面では、CPあるいは金融機関借入れが非常に多額にのぼっていました。金融機関としての貸し手の経験に加え、一般企業としての借り手の経験があるほか、リーマン・ショックに伴う金融収縮も経験しました。 こうした経験がどのようなものかというのは、それぞれの方が判断することですが、実際の金融業務の各側面における経験があることは事実なので、これを審議委員の仕事の中で何とか活かして貢献できればいいと思っています。 (問) 銀行出身という立場で、今の日本経済の現状をどのようにみていらっしゃいますか。
(答) 今年の1月、2月頃は、年初から全体に緊張がほぐれるというか、良い方向に向かっているという感じがしました。今年は良い年になるかと思っていたところに、3月11日の大震災で全く様相が一変しました。大変な被害が出たのですが、全体での生産の落ち込みは、どちらかといえば供給面の制約から出てきたものです。需要は一部下押しされましたが、全体としては需要は残っていると思います。各方面の関係者の方々が必死の努力をされ、隘路となっているサプライチェーンの問題等については、前倒しで成果が出ていると感じており、これから夏場にかけてかなり戻していくと思っています。 また、夏場の電力問題については、当初考えられていたよりは、各方面の対策、節電、あるいは自家発電の投入等があり、一定程度軽減されてくるという気がします。また、一部の業種では生産が落ち込む過程で、在庫が非常に圧縮されており、内外で適正在庫水準への復元が起きると、生産は他の制約がなければ反動として上がってくると思います。 問題はその先で、2つの大きな問題があると思います。1つ目は、今回の震災で起きたサプライチェーンの問題、分散化の影響がどういうかたちで出てくるのかです。国内での分散化であれば良いですが、海外に出て行った場合にどうなるのか。また、それに伴い一時的に真空状態になったサプライチェーンの基幹部品について、新興国等が参入してきた場合に、復元して元通りになるのかという問題があります。2つ目は、それを加速する可能性がある来年度の電力の問題です。もともと新興国の経済の発展に伴い、わが国企業の海外での生産比率が高まっている環境のもとで、いわゆる空洞化が起こってきた場合に、それを埋めるものが何なのか、これから先、非常に難しい問題になってくると思います。
この続きはこちらをご覧ください。:http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2011/kk1107a.pdf
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