米国が中国への追加関税を発動した一方、協議継続を期待する市場心理の中10日のアジア市場は上昇をみせ、原油価格も同様に回復している。
日本時間10日午後6時35分時点で、米国のWTI原油先物は62.13ドルで0.7%高、ブレント原油先物は70.92ドルで0.75%高となっている。
日本時間10日午後1時1分、制裁関税が発動された。5700種以上の中国製品に対し、関税が従来の10%から25%に引き上げられる。
これに対し中国当局は「報復せざるを得ない」とコメントしているが、詳細は明らかになっていない。
ロバート・ライトハイザー米通商代表、スティーブン・ムニューシン米財務長官、そして中国の劉鶴副首相らは貿易協議初日を終えた。
ブルームバーグによる関係者筋への取材によると、双方の間には暗雲が立ち込めており、協議はさほど進展しなかったという。
トランプ米大統領は習近平国家主席から「素晴らしい手紙」を受け取ったとし、「おそらく電話でも会談する」と述べた。
同大統領はその手紙が「手を取り合い合意に向かおう」というような内容であったと説明した。
先週は北朝鮮のミサイル発射、リビア内戦、イラン産原油が市場から消えるなど激動の一週間となった。米国エネルギー情報局(EIA)は8日、先週の原油在庫が400万バレル減少したと報告した。
OANDAのシニアマーケットアナリストであるEd Moya氏は、制裁関税が撤回された場合にはイラン情勢が原油にとって好材料になると指摘した。
同氏は、通商協議が決裂し原油価格と共に米国株価が10%下落するのが最悪のシナリオだとしたものの、「これはまず起こらないと言っていい」と述べた。