[ロンドン 17日 ロイター] - 市場のデータやアナリストによると、原油先物の取引高が増加しており、新型コロナウイルスの流行直後の水準に達した。
先物価格は上昇基調にあるが、強気筋と弱気筋が価格変動に備えてヘッジを急いでいることが背景とみられる。
先物価格は、すでに新型コロナ流行前の水準を回復。燃料の実需は依然として低迷しているものの、北海ブレント先物は1年弱で55ドル急伸し、今週1バレル=70ドルに達した。
ただ、旅行や通勤が以前の水準に戻るのか、また戻るとすればいつになるかを巡っては不透明感が強く、先物市場では売り買い双方のポジションが膨らんでいる。
米商品先物取引委員会(CFTC)によると、生産者・取引業者が保有するWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物は2月に100万枚以上と、昨年5月以降で初めて100万枚を上回った。
ICEの北海ブレント先物の建玉は2月19日に過去最高の280万枚となり、昨年4月の記録を塗り替えた。
米エネルギー情報局(EIA)によると、最近の原油高を受けて、生産者と消費者の双方が、それぞれの目的で先物の取引を増やしている。
EIAは今週、「今後も原油価格の上昇が続く可能性があるとの見方から、現物市場のバイヤーが現在の水準で価格を確保している」との見方を示した。
ただ、先物価格が4カ月にわたって急伸している一方、現物市場の取引は低迷。世界の需給が一致するのは、まだ先になるとみられている。
ブリタニカ・グローバル・マーケッツのシニア・エネルギー・ブローカー、マーク・ラウエル氏は「現在のボラティリティーの主因は、先物市場での投機的な取引だ。現物市場に沿った値動きが実現するまで、ボラティリティーは続くだろう」と述べた。
世界の需要が力強く回復しない限り、ボラティリティーが続く可能性もある。
ノートルダム大学のジャンナ・バーン教授は「今回の特徴は消費需要、商業需要が激減していることだ。新型コロナの影響が感じられる間はボラティリティーが続く」と述べた。