[オスロ 31日 ロイター] - ノルウェーのストーレ首相は31日、ロシアのウクライナ侵攻を受けた安全保障強化に向けて11月1日から軍の警戒レベルを引き上げると発表した。作戦行動が可能な兵士を増員すると同時に、即応部隊の役割を拡大する。
ストーレ氏は記者会見で「これは過去数十年で最も厳しい安全保障の状況だ」とした上で、「ロシアが他の国々に戦火を広げているという兆しはないが、緊張の高まりでわれわれは脅威や諜報活動、影響力に一段とさらされている」と語った。
防衛トップのクリストファーセン将軍は、新たに編成した米国製の潜水艦捜索用海上哨戒機「P─8ポセイドン」の編隊を当初の予定よりも早く通常運用に移行させると表明。ただ、軍が実施する警戒規模は機密事項だとして、詳細は明らかにしなかった。
その上で「ウクライナで戦闘が激化し、ノルウェーはウクライナ軍兵士の訓練を行っている」とし、バルト海の海底天然ガスパイプラインの爆発も発生したと指摘。現時点で具体的な脅威はないとながらも、「不確実性」が高まっていることが警戒レベルの引き上げにつながったと語った。
クリストファーセン将軍は空軍のF35戦闘機を使った米国での訓練を取りやめ、ノルウェー国内にとどめるとも表明。警戒レベルが引き上げられた状態は「少なくとも1年間は続く」との見方を示した。
北大西洋条約機構(NATO)加盟国でもあるノルウェーのロシアとの国境は約200キロメートル。ロシア産ガスの欧州連合(EU)への輸入が減少したのを受けてノルウェーはEU向けの最大の天然ガス輸出国となり、EUの全輸入量の約4分の1を占める。
グラム国防相は、軍隊は訓練の時間を減らして作戦任務の時間を増やすと説明。即応動員部隊のホームガードがより活発な役割を果たすことになると指摘した。
9月26日にロシアと欧州を結ぶ天然ガスパイプライン「ノルドストリーム」のガス漏れが発生後、ノルウェーは海上および陸上施設の警備のために初めて軍を派遣。英国とフランス、ドイツの各海軍が支援した。