Marianna Parraga Mayela Armas
[ヒューストン/カラカス 30日 ロイター] - 米政府が対ベネズエラ制裁の一部を復活させたことについて、専門家はベネズエラの石油・ガス部門が打撃を受けるとの見方を示した。
石油輸出収入が減少するほか、新たなエネルギー投資が阻害され、国内の燃料不足が深刻化するリスクが高まるという。
米政府は29日、ベネズエラ最高裁が大統領選の野党候補に立候補を禁じる判断を示したことを受け、対ベネズエラ制裁の一部を復活。米財務省は、ベネズエラの国営金鉱山会社ミネルベンと取引を行う米企業に対し、2月13日までに中止するよう要請した。野党候補の立候補が認められない限り、ベネズエラ石油業界との取引再開を広く認めた「一般許可第44号」を現在の期限である4月18日に更新しない方針だ。
米政府は、ベネズエラのマドゥロ政権と野党勢力が2024年の大統領選実施で合意したことを受け、昨年10月に同国への制裁を一部緩和していた。
カラカスを拠点とするコンサルティング会社エコアナリティカによると、ベネズエラの石油収入は制裁緩和を受けて昨年の約120億ドルから今年は最大200億ドルに拡大すると予想されていた。
米ライス大学ベーカー研究所の中南米エネルギープログラム担当ディレクター、フランシスコ・モナルディ氏は「4月に許可が取り消されば、収入が再び減少し、力強い経済成長と競争のある選挙というシナリオが後退するだろう」と述べた。
専門家によると、深刻な燃料不足のリスクも高まる。米政府がベネズエラで操業する石油大手シェブロンなどへの債務返済を引き続き認めても、生産拡大に向けた持続的な投資が行われない可能性があるという。
ベネズエラに投資している米アモス・グローバル・エナジーのアリ・モシリ最高経営責任者(CEO)は「1社か2社に特定のライセンスを認めても、ベネズエラへの投資復活にはあまり寄与しない。ベネズエラ石油部門の大幅な生産拡大にはつながらないだろう」と述べた。