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エネクス Research Memo(5):電力調達では全国6ヶ所で発電施設を運営中

発行済 2016-06-17 17:45
更新済 2016-06-17 18:00
エネクス Research Memo(5):電力調達では全国6ヶ所で発電施設を運営中
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■事業部門別動向の詳細 (2)電力・ユーティリティ部門 a)事業の概要と成長戦略 電力・ユーティリティ部門の内容は2つだ。
1つは、電力販売(小売及び卸売)事業であり、もう1つは熱供給事業だ。
電力販売は、火力発電のベースロード電源と自然エネルギー発電を組み合わせた自社電源設備に加え、パートナー企業(王子ホールディングス (T:3861)、関西電力 (T:9503))からも電力を調達して、大口、小口の需要家に対して電力小売を拡大していくことを目指している。
熱供給事業は2012年に東京電力 (T:9501)から東京都市サービス(株)(TTS)の株式の66.6%を取得して参入したビジネスだ。
TTSは電気式熱供給センターを首都圏で18ヶ所運営している。
電力事業と熱供給事業は、ともにプラスの利益貢献をしているが、今後の成長性という点では電力事業により高い期待がかけられており、伊藤忠エネクス (T:8133)の成長戦略も電力事業をベースに構築されている。
日本の電力販売は2000年から順次自由化されてきた。
同社は2010年に新電力(特定規模電気事業者、PPS)として届け出を行い、電力販売事業に進出した。
参入当初は日本卸電力取引所(JPEX)を通じた卸売がほとんどであったが、次第に大口需要家向けの小売販売の比率を高めてきている。
前述したように、2016年3月期は1,616GWhの電力を販売したがそのうちの871GWhは大口需要家に対する小売販売であった。
2016年4月から、低圧分野(小口需要家)が自由化され、電力販売は全面的に自由化された。
一般家庭などを対象とする低圧分野は、電力需要全体の約40%を占めるとみられており、PPS各社はここを重要な成長源とみて販売にしのぎを削っている状況だ。
この市場に参入するうえでは、販売網をどう構築するかが1つのカギとなる。
いくつかの形態がある中で、同社が選択したのはバランシンググループ(BG)だ。
同社は自社電源と需給バランス調整ノウハウを生かしてBGリーダーとなり、顧客網や販売力のある企業をBGメンバーとしてBGを組成し、BGメンバー企業を通じて電力小売販売を行うというものだ。
BGメンバーには同社のLPガス販売子会社を始めとするグループ内企業に加え、外部のエネルギー関連企業や異業種企業、地方自治体など、様々な事業者を想定している。
現状のBG組成の進捗としては、伊藤忠エネクスホームライフ関東、エコアの2子会社が加入済みのほか、(株)とっとり市民電力との提携が発表されている。
さらに、コープさっぽろ系の(株)トドック電力との提携についても一部で報道がされている状況だ。
電力の調達面では全国6ヶ所で発電施設を運営中だ。
全設備とも順調な稼働が続いており、子会社の業績も全社黒字が維持されている。
また、外部パートナーとの提携では、2016年3月に、同社の100%子会社であるJENホールディングス(株)(現「エネクス電力(株)」)と関西電力(株)の100%子会社である(株)関西エネルギーソリューションとの合弁会社仙台パワーステーション(株)の火力発電所建設が発表されている。
2017年10月稼働予定で、出力は11.2万kWとなっている。
このほかに、王子・伊藤忠エネクス電力販売(エネクス60%出資)が、王子ホールディングスが有する電源からの電力を販売している。
投資家としての目線で同社の電力事業をどのように考えるべきかについて、弊社の考え方は従来から変化はない。
同社が低圧分野市場に期待をかけるのは、BGが整った後の中期的時間軸においてだと弊社では理解している。
同社は電力小売のキーワードとして「地域特化」を掲げている。
これは同社が強い勢力を有する地域を作ろうというもので、スーパーやコンビニになぞらえれば“地域ドミナント出店”のようなものと言えよう。
同社の子会社・系列代理店は、関西、北海道、中国、九州などに、LPガス事業などで強い顧客基盤を有する地域を抱えている。
まずはそこをきちんと固めることを明確に述べているのが「地域特化」ということだ。
これは非常に合理的かつ効果的なアプローチだと弊社では評価している。
当面、同社の収益への貢献が期待されるのはこれまでと同じく高圧分野だ。
2016年3月期は高圧分野の小売電力量を前年の倍以上に伸ばした。
この高圧分野におけるPPSのシェアは着実に右肩上がりで推移しているものの、まだ10%程度にとどまっている。
全面自由化で様々な企業が消費者向けに広告を打ち始めたことで、高圧分野の需要家においても改めてPPSへの切り替えの意識が高まり、PPSへの切り替えが加速してくると期待される。
これこそが、当面の同社の電力事業にとっての最大の成長材料であるというのが弊社の見方だ。
b) 2017年3月期見通し 電力・ユーティリティ部門のセグメント業績は、売上高58,700百万円(前期比35.0%増)、営業利益3,900百万円(同12.6%減)が予想されている。
増収減益予想となっているが、以下に述べるような理由から、弊社では実質的には増収増益基調が維持されていると評価している。
売上高は小売、卸売ともに販売を伸ばし順調に拡大することが期待される。
特に小売電力量の伸びを大きく見ており、同社は1,950GWh(前期比123.9%増)を計画している。
中期経営計画における2017年3月期の販売計画量は全体で2,200GWhで、うち1,700GWhを小売販売としていた。
卸売については、市況等を見ながら積極的に変動させていくものとみられるため、KPI(重要経営指標)として注視すべきは、小売電力量の推移ということになろう。
一方、営業利益が減益予想となっているのは、会計制度の問題が大きい。
熱供給のTTSで大型都市開発案件と設備更新が予定されており、これに関して600百万円の除却損の計上が見込まれている。
同社が採用するIFRS(国際財務報告基準)ではこれが営業費用として認識されるため、営業利益を押し下げることになる。
減益予想の主因はこれだ。
他に、防府の発電設備での定期修理に関する費用計上や、原油価格の上昇によるTTSでの原料費上昇なども減益要因の一部として織り込まれている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

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