[ニューヨーク 17日 ロイター] - 終盤のニューヨーク外為市場では、米国の新型コロナウイルス追加対策を巡る協議が続く中、ドルが主要通貨に対し2年超ぶりの安値を付けた。一方、大口投資家の関心の高まりを背景に暗号資産(仮想通貨)のビットコインは最高値を更新した。
米議会指導部による9000億ドル規模の新型コロナ追加景気対策を巡る協議は、合意に向け前進しているものの、つなぎ予算が切れる18日深夜までに合意できるか不透明な情勢となっている。
共和上院トップのマコネル院内総務は、17日中の合意を期待していると述べる一方、つなぎ予算の期限をさらに延長する必要があるかとの問いに「あるかもしれない」と応じた。
メルク・インベストメントの最高投資責任者(CIO)、アクセル・メルク氏は、投資家がドルを売り、他の資産に資金を投じているとし「世界的なリフレが進行中だ」と指摘。「これが市場のテーマになっており、どちらかと言えば加速している」と述べた。
ドル指数は一時89.723まで下落し、2018年4月以降で初の90割れとなった。終盤は0.50%安の89.795。
ドル安が続く中、投資家はビットコインに注目しており、この日は一時10.5%高の2万3777ドルと最高値を更新。年初来で約3.3倍となった。終盤は5%高の2万2414ドル。
ビットコインは急速な値上がりとインフレヘッジ資産としての側面から大口投資家の買いを集めている。
米国では16日の新型コロナ感染症による死者が3580人と、過去最多を記録。一方、アザー厚生長官はCNBCとのインタビューで、米食品医薬品局(FDA)の承認が下り次第、モデルナの新型コロナワクチン590万回分が全米に配布される見通しと述べた。
米連邦準備理事会(FRB)は16日、国債などを買い入れる量的緩和策について、最大雇用と物価安定の目標達成に向けて「さらに著しい進展が見られるまで」継続すると表明、景気回復が確かになるまで大規模緩和を続ける姿勢を明確にした。
ドル指数はFRBの発表を受け上昇したが、一時的な動きにとどまった。
ポンドは対ドルで上げ幅を縮小。ジョンソン英首相はフォンデアライエン欧州委員長との電話協議後、欧州連合(EU)との貿易協議は「深刻な状況」にあり、EUが大幅に立場を変えない限り合意には至らないだろうと述べた。
この日序盤には英EU通商協議が合意に達するとの楽観的な見方がポンドを押し上げ、一時1.3625ドルと18年5月以来の高値を付けた。ただ、その後は上げ幅を縮め、終盤は0.50%高の1.3578ドルとなった。
英国のゴーブ内閣府担当相(国務相)が議会委員会で「残念ながら合意に至らない可能性の方が高い」とし、合意に至る確率は「50%を下回る」と指摘。良好な進展があったとのEU首席交渉官の示唆を打ち消した。
英イングランド銀行(中央銀行)は17日、政策金利を過去最低の0.1%に、資産買い取り枠を8950億ポンド(1兆2000億ドル)に据え置いた。同時に、EUとの貿易交渉がまとまらずポンドが急落した場合、2%を超える物価上昇を容認する用意があると表明した。
ユーロは終盤で0.52%高の1.2266ドル。18年4月以来の高値となった。
ドルは対スイスフランで0.05%安の0.8844フラン。
ノルウェークローネは1.57%高の8.5620クローネ。ノルウェー中央銀行は17日、政策金利を予想通り過去最低のゼロ%に据え置いたが、世界経済が新型コロナウイルス流行から回復するにつれ、利上げ時期が従来想定よりも早くなる可能性があると警告した。
ドル/円 NY午後4時 103.14/103.16
始値 103.03
高値 103.17
安値 102.89
ユーロ/ドル NY午後4時 1.2262/1.2264
始値 1.2236
高値 1.2273
安値 1.2233
(表はリフィニティブデータに基づいています)